養育費請求調停の流れを5つのステップで解説

養育費について話し合っていても、こちらが希望する金額に相手が応じない、連絡しても返事がないときは、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てようと考える方もいると思います。
養育費請求調停を申し立てるには、申立書を手に入れ、希望する内容を書き、必要な書類と費用をそろえて、家庭裁判所へ提出します。初めて申立てをする場合は、申立書をどこで手に入れ、どこへ提出し、何を書けばよいのか分からない方もいると思います。
こちらでは、養育費請求調停で決められることと、申立書を手に入れて家庭裁判所へ提出するまでの進め方を、初めての方にも分かりやすいように順に説明します。
養育費請求調停で決められることとは?
養育費調停では、相手に毎月いくら支払ってもらうのかを話し合うための場所です。あわせて、いつの分から支払ってほしいか、毎月何日にどの口座へ振り込んでもらうか、いつまで支払ってもらうかも話し合うことができます。
私立学校の学費や継続的な医療費など、毎月の養育費とは別に負担してほしい費用があるときは、その費用を誰がどの割合で負担するのかも話し合うことができます。
この話し合いで父母が合意した内容は調停調書に記載され、養育費の金額、支払開始月、支払日、振込先、支払終期などの取り決めが書面として残ります。
受け取る養育費の金額だけではなく、いつの分から受け取り始めるのか、毎月いつまでに、どの口座へ振り込んでもらうのかまで具体的に決めておくことが大切です。
養育費請求調停の申立て準備から期日出席までの流れ
養育費請求調停は、申立書を手に入れ、希望する養育費と事情を書き、必要書類と費用をそろえ、家庭裁判所へ提出し、調停期日に出席するという順番で進みます。
裁判所の公式案内では、父母の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合に、家庭裁判所へ申立てて養育費の支払を求める手続とされています。申立先は原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で、費用は子ども1人につき収入印紙1,200円と、裁判所ごとに異なる郵便料です。
申立先、必要書類、費用、書式の公式案内は、裁判所の「養育費請求調停」ページでも確認できます。
ここからは、申立書を手に入れるところから調停期日に出席するまでの5つの流れを、ステップ1から順に説明します。
STEP 1養育費請求調停の申立書と必要書類をダウンロードする

養育費請求調停を申し立てる場合は、裁判所の公式サイトから、申立書と必要な書類をダウンロードできます。下の案内から裁判所の公式サイトを開いてください。
裁判所の公式サイトには、申立書のほかに事情説明書などの提出用書類と、書き方を確認する記入例があります。まずは、家庭裁判所へ提出する次の4つの書類をダウンロードしてください。
①から④は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てるために提出する必要書類です。
家庭裁判所へ提出する4つの書類- 養育費請求申立書
相手に求める養育費の金額、いつから支払ってほしいか、支払日などを裁判所に伝える書類です。 - 事情説明書
子どもの生活にかかる費用、自分と相手の仕事や収入、これまで養育費について話し合ってきたことを裁判所に伝える書類です。 - 進行に関する照会回答書(申立人用)
相手と連絡が取れるか、期日の進め方で裁判所に配慮を求めたいことがあるかなどを記入する書類です。 - 送達場所等届出書
家庭裁判所からの書類を受け取る住所を記入する書類です。
STEP 2希望する養育費の金額・支払開始月・支払方法を申立書に書く

ステップ1で書類をダウンロードしたら、次は申立書に希望する養育費と現在の状況を書いていきます。子ども1人あたりの養育費、いつの分から受け取りたいか、毎月の支払日、振込先を先に決めておくと、申立書を書き進めやすくなります。
まず「申立ての趣旨」に、子ども1人あたりの月額を書く
初めて養育費を決める場合は、申立書上部の事件名欄で「養育費請求」を選びます。「申立ての趣旨」の「1人当たり毎月」の欄には、子ども1人あたり毎月いくらの養育費を求めるのかを書いてください。すでに決めた養育費の増額又は減額を求める場合は、「2」又は「3」の欄に記入します。
子どもが1人で月8万円を求める場合は、「1人当たり毎月8万円」と書きます。子どもが2人いて、1人あたり月5万円を求める場合は、「1人当たり毎月5万円」と書くため、毎月の合計額は10万円です。
希望する金額の目安が分からないときは、養育費の算定表を参考にしてください。
こちらの「養育費自動計算ツール」では、父母それぞれの年収と子どもの人数・年齢から、養育費の目安を計算することができます。
次に「申立ての理由」に、別居・離婚と養育費の支払状況を書く
次に、「申立ての理由」に、別居又は離婚した日と、これまでの養育費の取り決めや支払状況を書きます。取り決めがある際は、何年何月から、子ども1人あたりいくらと決めたのか、実際に支払いがあったかを書くようにしてください。
たとえば、口約束も書面もなく、これまで支払いもない場合は、「養育費の取り決め」は「なし」、「支払状況」は「これまで支払はない」を選びます。以前は支払われていたものの途中で止まった場合は、いつまで、子ども1人あたりいくら支払われていたのかを書いてください。
支払開始月・支払日・振込先も、希望として先に決める
申立書には、子ども1人あたりの希望額を書きます。あわせて、いつから支払ってほしいのか、毎月いつまでに、どの口座へ振り込んでもらいたいのかも整理しておきましょう。これらも調停で話し合う大切な条件です。
次の3つは、申立書を書く前に決めておいてください。
- ✓ 支払開始月:何年何月分から支払ってほしいか
- ✓ 支払日:毎月何日までに支払ってほしいか
- ✓ 振込先:どの口座へ振り込んでほしいか
たとえば、「子ども1人につき8万円を、2026年4月分から、毎月末日までに指定口座へ振り込んでほしい」と決めておくと、調停期日に希望する条件を伝えやすくなります。
事情説明書には、収入・同居家族・子どもにかかる費用などを書く
事情説明書には、子どもの生活や父母の収入など、養育費の金額を考えるために必要な事情を書きます。書式の質問に沿って、あなたと相手の同居家族、父母それぞれの収入、子どもの学費・教育費・保育料などを記入してください。相手側の事情は、分かる範囲で書けば大丈夫です。
自分の収入は、源泉徴収票、給与明細、確定申告書などを見ながら、額面の年収を正確に書いてください。子どもの学費・教育費・保育料は、毎月又は毎年いくら負担しているのかを、実際に支払っている金額で書くようにしてください。
事情説明書の最後には、養育費を求めることになった経緯や、相手と意見が違っている点を書く欄があります。相手への不満を書くのではなく、いつから養育費を求めているのか、どのようなやり取りをしたのか、現在何に困っているのかを、事実に沿って書いてください。
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申立書の書き方が分からないときは?
ステップ1でダウンロードした「記入例(養育費)」を確認してみてください。記入例の「申立ての趣旨」と「申立ての理由」を自分の申立書と見比べながら、子どもの人数、希望する養育費の金額、別居・離婚の日、これまでの支払状況を自分の状況に当てはめて記入してください。
記入例を見ても、書類の提出方法や必要部数、追加書類の有無が分からないときは、申立先の家庭裁判所の窓口に問い合わせてください。
ただし、家庭裁判所の窓口では、申立書に書く養育費の金額や事情についての個別の相談は受け付けていません。養育費の金額、未払い分、学費などの特別費用をどう求めるかで迷うときは、弁護士に相談してください。

ステップ2で申立書を書き終えたら、次は必要書類の準備と費用の確認です。申立書以外にも、家庭裁判所へ提出する必要書類があります。
まず確認するのは、子どもの戸籍謄本と自分の収入資料です。子どもとの関係と、希望する養育費の金額を考えるための収入が分かる書類を一緒に出します。これらの書類をそろえた後で、申立てに必要な収入印紙と郵便料を準備してください。
申立書と一緒に出す2つの書類をそろえる
養育費請求調停の申立てには、申立書、事情説明書、進行に関する照会回答書、送達場所等届出書とは別に、次の書類も必要になります。
✓子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
誰の養育費について申し立てるのか、子どもと父母の関係を家庭裁判所が確認するための書類です。子どもの本籍地の市区町村で取得できます。
✓自分の収入資料
希望する養育費の金額を考えるために使う書類です。源泉徴収票、給与明細、確定申告書、非課税証明書など、現在の収入が分かるものを用意してください。
家庭裁判所によっては、申立書や添付書類の写しを何部出すのか、追加でどの書類を出すのかが異なります。提出先が決まったら、その裁判所のウェブサイトを見るか、窓口へ電話をして、必要な部数と追加書類があるかを確認してください。給与明細しかない場合や、収入が変わったばかりの場合も、手元にある資料をそろえて、何を出せばよいか窓口で確認してください。
子どもにかかる費用の資料も手元にそろえる
事情説明書に、子どもの学費、保育料、継続的な医療費などを書く場合は、その金額が分かる領収書、請求書、学校・保育園からの案内なども手元にそろえておきましょう。家庭裁判所から提出を求められたときに、すぐに出せるようにするためです。
申立てにかかる費用を準備する
必要書類をそろえた後は、申立てに必要な費用を準備します。用意するのは、子どもの人数に応じた収入印紙と、裁判所が書類を送るための郵便料です。
申立手数料は、子ども1人につき収入印紙1,200円です。子どもが2人なら2,400円、3人なら3,600円になります。
郵便料の金額、切手の組み合わせ、納め方は家庭裁判所ごとに異なります。提出先が決まったら、その家庭裁判所の案内ページ又は窓口で、必要な郵便料と納め方を確認するようにしてください。
STEP 4提出先の家庭裁判所を調べて、申立書を出す

ステップ3で必要書類と費用をそろえたら、次は申立先となる家庭裁判所を調べます。養育費請求調停は、原則として相手が現在住んでいる地域を担当する家庭裁判所へ申し立てます。自分の住所地ではないため、相手の住所を確認してから進めてください。
相手が住んでいる市区町村から、提出先の家庭裁判所を調べる
まず、相手が現在住んでいる市区町村を確認します。裁判所の「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」で市区町村を選ぶと、申立先となる家庭裁判所の本庁又は支部を調べられます。
父母が合意している場合は、相手の住所地とは別の家庭裁判所へ申し立てられることもあります。相手の住所が分からない場合は、提出先を決める前に最寄りの家庭裁判所へ確認してください。提出前に、受付方法と必要部数を確認する
提出先が分かったら、申立書を出す前に、その家庭裁判所の案内ページを見るか、窓口へ電話をしてください。裁判所によって、書類の提出方法、申立書や添付資料の写しが必要な部数、郵便料の納め方が異なるためです。
電話では、次の4点を確認すると、提出した後に書類を出し直す手間を減らせます。
- ✓ 申立書は窓口へ持参するのか、郵送できるのか
- ✓ 宛先・受付の担当窓口はどこか
- ✓ 申立書と添付資料の写しは何部必要か
- ✓ 郵便料は、切手又は別の方法でどのように納めるのか
持参又は郵送で申立書を提出する
確認が終わったら、案内された方法で申立書と必要書類を提出します。窓口へ持参する場合は、受付時間を確認してから出向いてください。郵送する場合は、宛先、同封する書類、必要な写し、郵便料の納め方をもう一度確認してから送ります。
提出後に、家庭裁判所から書類の補正や追加資料を求められることがあります。裁判所から届く郵便を確認し、期限が示されている場合は、その期限までに提出してください。書類が受け付けられると、次は調停期日の連絡を待ちます。
STEP 5調停期日に出席し、希望する条件を伝える

申立書が受け付けられると、第1回調停期日の通知が、送達場所等届出書に記載した送付先へ届きます。通知を受け取ったら、まずいつ・どこの家庭裁判所へ行くのかを確認してください。養育費調停は、申立人と相手方が調停委員にそれぞれ事情を伝え、養育費の金額や支払方法を話し合う手続です。
調停期日の通知が届いたら、日時と場所を確認する
通知には、出席する日時、家庭裁判所の名称、庁舎、待合場所、期日までに提出するよう求められた書類、持参を求められる資料が書かれます。家庭裁判所の名前だけでなく、本庁なのか支部なのか、当日はどの待合場所へ行くのかまで確認してください。初めて行く場合は、地図と所要時間も調べておくと安心です。
調停期日の服装は?何を持って行く?
裁判所から特別な指示がなければ、スーツで行く必要はありません。清潔で落ち着いた普段着など、長時間座って話しやすい服装を選んでください。
通知書に書かれた持ち物を最優先にしたうえで、次のものを準備しておくと当日困りません。
- ✓ 第1回調停期日の通知書
- ✓ 申立書や、これまで裁判所へ提出した資料の控え
- ✓ 通知で持参を求められた資料の原本
- ✓ 希望する条件をまとめたメモと筆記用具
- ✓ 次回の期日を確認するための手帳やスマートフォン
指定された日に出席できないときは、すぐに家庭裁判所へ連絡する
仕事、体調、お子さんの預け先などの事情で指定された日に出席できないと分かったときは、無断で欠席せず、通知書に書かれた担当書記官へ早めに連絡してください。調停期日は裁判所が指定するため、通知を受け取ったら、まず出席できるかを確認するようにしてください。
調停当日は、待合室で待ち、調停委員へ希望と事情を伝える
家庭裁判所に着いたら、通知書に書かれた待合場所で待ちます。通常は、申立人と相手方が別々に調停委員へ話をし、調停委員が一方の意見をもう一方へ伝えながら話合いを進めます。必要に応じて、父母が同じ調停室で話す場合もあります。
ステップ2で決めた希望と、その理由を短くメモにして持参してください。調停委員に伝える内容は、次の4つです。
- ✓ 希望する養育費の金額:子ども1人あたり、毎月いくら受け取りたいか
- ✓ 支払開始月:何年何月分から支払ってほしいか
- ✓ 支払日・振込先:毎月いつまでに、どの口座へ振り込んでほしいか
- ✓ 金額の理由:子どもの生活にかかる費用、自分と相手の収入、これまでの話合い
申立書に書いた希望する条件と、その理由をこの順番で伝えると、調停委員にも伝わりやすくなります。
調停期日当日の話合いはどのように進む?時間はどのくらいかかる?
調停期日は、申立人と相手方が別々の待合場所で待機し、調停委員がそれぞれから話を聞く形で始まるのが原則です。調停委員は、一方から聞いた希望や事情をもう一方に伝えながら、養育費の金額や支払方法について合意できるかを確認します。必要に応じて、父母が同じ調停室で話す場合もあります。
調停の時間は、おおむね1回2時間程度です。
裁判所やその日の進み方で前後するため、時間に余裕を持って行ってください。話合いが続く場合は、次回期日を決めて、その日の調停を終えます。
調停委員から何を聞かれるのか、どのように答えればよいのかについては、次の解説で詳しく説明しています。
資料の提出を求められたときは、期限と提出方法を確認する
調停では、収入や子どもの生活にかかる費用を示す資料の提出を求められることがあります。何を、いつまでに、どの方法で提出するのかを確認してください。提出した資料の控えも手元に残しておきましょう。
相手に知られたくない住所や勤務先などが資料に含まれるときは、提出する前に担当書記官へ伝えてください。
話合いがまとまった場合とまとまらない場合
父母の話合いがまとまり、双方が内容に合意すると、調停が成立します。合意した養育費の金額、支払開始月、支払日、振込先、支払期間などは、裁判所が調停調書に記載します。
調停調書の謄本・正本は、調停が成立した後に、調停をした家庭裁判所へ書類交付を申請して受け取ります。窓口で受け取るか、郵送してもらえるか、交付までの日数や必要な収入印紙は家庭裁判所により扱いが異なるため、成立した日に担当書記官へ確認してください。
手元に届いたら、合意した条件が正しく記載されているかを確認し、大切に保管してください。
話合いがまとまらず調停が不成立になった場合は、審判手続が始まり、裁判官が父母の収入、子どもの生活にかかる費用、提出資料などを踏まえて判断します。
養育費請求調停について、弁護士に無料で相談できます
養育費請求調停を申し立てたいけれど、申立書に何を書くのか、必要書類や希望額、未払い分の扱いが分からないときは、弁護士に無料で相談できます。
離婚協議書や相手とのやり取り、収入資料、通帳の記録があれば、申立て前に何を整理するか、希望する条件をどう考えるかを具体的にご説明できます。資料がそろっていない場合も、LINEで分かる範囲からお聞かせください。
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