養育費調停を控えている方が最も気になるのは、調停委員から何を聞かれるのかではないでしょうか。
養育費調停では、申立人と相手方の双方から事情を聴き、子どもの生活、父母の収入、これまでの支払い、希望する養育費などを確認しながら話し合いが進みます。
全員が同じ質問を同じ順番で聞かれるわけではありません。申立書や事情説明書に書かれた内容、相手の意見、父母の間で意見が違う点によって、詳しく聞かれる内容は変わります。
主に聞かれるのは、次のようなことです。
- なぜ養育費調停を申し立てたのか
- 子どもが誰と暮らし、どのような生活をしているか
- 学費・保育料・医療費など、子どもにかかっている費用
- 養育費を以前に決めたか、これまで支払われていたか
- 父母それぞれの仕事・収入・同居家族
- 養育費をいくら、いつから、いつまで求めるか
- 支払日・振込先・進学費用などをどうするか
- 以前に決めた金額から、どのような事情が変わったか
- 相手との話し合いと、調停を進めるうえで配慮が必要か
なぜ養育費調停を申し立てたのか
「相手とは養育費について話し合いましたか」
「どのような話をして、どの点でまとまりませんでしたか」
「今回の調停で、何を決めたいと考えていますか」
最初に、調停を申し立てるまでの経緯を聞かれることがあります。離婚時に養育費を決めなかった、話し合いをしても金額がまとまらなかった、相手が話し合いに応じなかったなど、申立てに至った事情を確認するためです。
すでに相手と話している場合は、相手が支払いを拒んでいるのか、金額だけが合わないのか、支払期間や進学費用で意見が違うのかなど、父母の間で決まっていない点を聞かれます。
子どもは誰と暮らし、どのような生活をしているのか
「子どもは何歳で、現在は誰と暮らしていますか」
「学校や保育園には通っていますか」
「日常の世話は主に誰がしていますか」
「健康面や生活面で継続して配慮が必要なことはありますか」
養育費は子どもの生活を支えるためのお金なので、子どもの人数・年齢・同居先だけでなく、現在の生活についても確認されます。
通学先、保育園、健康状態、障害や継続的な通院の有無など、毎月の養育費を考えるうえで関係する事情があれば、その内容を尋ねられることがあります。
調停委員が確認するのは、親同士の不満ではなく、子どもが現在どのように暮らしているかです。
学費・保育料・医療費など、子どもにかかっている費用
「子どもは国公立と私立のどちらに通っていますか」
「学費や保育料は、1か月または1年でいくらかかっていますか」
「塾・習い事や、継続して必要な医療費はありますか」
「その費用は、現在どちらが負担していますか」
裁判所の事情説明書には、子どもの通学先、学費、習い事、塾代、保育料を書く欄があります。そのため、通常の生活費とは別に、教育や医療にどのような費用がかかっているかを聞かれることがあります。
私立学校への進学、受験、大学進学、継続的な治療などが予定されている場合は、いつから、どの程度の費用が見込まれるのかも話題になります。
養育費を以前に決めたか、これまで支払われていたか
「離婚時に養育費を決めましたか」
「口頭、LINE、離婚協議書、公正証書など、どのような形で決めましたか」
「毎月いくら、いつまで支払う約束でしたか」
「これまで実際に支払われた金額と、支払われていない月はいつですか」
以前に養育費を話し合っている場合は、取り決めの有無だけでなく、決めた方法と内容を聞かれます。書面がなく口頭で決めた場合や、LINEだけで話していた場合も、いつ、どのような内容を話したのかが確認されます。
支払いが始まっていた場合は、現在も同じ金額が支払われているか、途中で減額されたか、支払いが一定しないか、これまで一度も支払われていないかなど、約束した内容と実際の支払いを分けて聞かれます。
父母それぞれの仕事・収入・同居家族
「現在の仕事と雇用形態はどうなっていますか」
「年収はいくらですか。給与以外の収入はありますか」
「失業・休職・転職など、最近収入が変わる事情はありましたか」
「同居している家族や、ほかに養育費を負担している子どもはいますか」
養育費の金額を考えるため、申立人と相手方の双方について、仕事、雇用形態、年収、失業や休職の時期などを聞かれます。給与のほかに、年金、生活保護、失業保険、育児休業給付金、不動産収入、傷病手当などがある場合は、その内容も確認されます。
父母と同居している家族や、別に養育費を負担している子どもがいるかも質問されることがあります。父母双方の現在の生活と扶養関係を確認するためです。
養育費をいくら、いつから、いつまで求めるのか
「1人当たり毎月いくらを希望しますか」
「何年何月分から支払いを求めますか」
「子どもが何歳になるまで、またはいつまでの支払いを希望しますか」
「希望する金額には、どのような事情がありますか」
調停では、希望する月額だけでなく、支払いを始める月と、支払いが終わる時期も聞かれます。子どもが複数いる場合は、子どもごとの金額や終期が話題になることもあります。
希望額については、父母双方の収入、子どもの人数と年齢、養育費算定表の目安、通常とは別にかかる教育費・医療費などが確認されます。
毎月の支払日・振込先・進学費用をどうするのか
「毎月何日までに支払う形を希望しますか」
「どの口座へ振り込み、振込手数料はどちらが負担しますか」
「進学費用や高額な医療費が必要になったときは、どのように負担しますか」
「住所・勤務先・振込先が変わった場合は、どのように連絡しますか」
養育費調停では、月額だけが決まれば終わりではありません。毎月の支払日、振込先、振込手数料、支払期間など、実際に支払いを続けるための条件も確認されます。
進学や病気などで通常の養育費とは別に大きな費用がかかる場合について、対象となる費用、父母の負担割合、事前に話し合うかどうかを聞かれることもあります。
すでに金額が決まっている場合は、以前との変化を聞かれます
「以前に養育費を決めたのはいつで、当時の父母の収入はいくらでしたか」
「取り決めた後、父母の仕事や収入はどのように変わりましたか」
「子どもの進学・医療費など、新しく増えた負担はありますか」
「再婚、養子縁組、新たな子どもなど、扶養関係に変化はありましたか」
養育費の増額について話し合う場合や、相手から減額の調停を申し立てられた場合は、現在の状況だけでなく、前に金額を決めた当時から何が変わったのかを聞かれます。
収入の増減、失業、子どもの進学や医療費、再婚、養子縁組、扶養する家族の変化などが、以前の取り決めと現在を比べるための確認事項になります。
金額以外に、相手との話し合いと調停の進め方も聞かれます
「申立て前に相手と話し合いましたか」
「相手は裁判所の呼出しに応じると思いますか」
「調停で話し合いを進められると思いますか」
「相手との接触や、裁判所での待機について配慮が必要ですか」
進行に関する照会回答書では、申立て前の話し合い、相手が呼出しに応じる見込み、調停で話し合える見込み、申立てを相手へ知らせたかなども尋ねられます。
暴力、暴言、待ち伏せなどの心配がある場合は、その内容や時期、裁判所で相手と接触することへの不安、必要な配慮について確認されることがあります。これは養育費の金額を決める質問とは別に、調停を安全に進めるための確認です。
調停委員から聞かれる内容は、父母の状況によって変わります
養育費調停で中心になるのは、子どもの生活、これまでの取り決めと支払い、父母双方の収入、希望する月額と支払条件です。
質問は、すでに提出した書面を読み上げるだけではありません。父母の説明が違う部分や、金額・期間を決めるために詳しく確認する必要がある部分について、追加の質問が行われます。
養育費に関する調停の種類や、申立てから成立・不成立までの流れを確認したい場合は、次の記事で詳しく説明しています。