「養育費の調停で話がまとまらなかったら、もう養育費を決められないのでしょうか」
話し合いで合意できないと、その後の手続がどうなるのか分かりにくいですよね。
養育費請求調停が不成立になった場合は、審判手続が始まり、裁判官が父母の収入や子どもの事情、提出された資料等を踏まえて養育費を判断します。
審判は相手を説得して合意する手続ではなく、裁判官の判断で養育費を決める手続です。
調停と審判では養育費の決め方が異なります
調停と審判の違いは、誰がどのように結論を出すかです。
| 比べる点 |
調停 |
審判 |
| 養育費の決め方 |
調停委員を介して父母が話し合い、合意を目指す |
裁判官が資料や一切の事情を踏まえて判断する |
| 父母の合意 |
成立に必要 |
判断そのものには不要 |
| 主に使われる資料 |
父母の収入資料、子どもの費用、希望条件等 |
調停で提出された資料、審判で追加提出した資料、必要な調査結果等 |
| 結果の書面 |
合意が成立すると調停調書が作成される |
審判の内容が審判書等で告知される |
| 結果に不服がある場合 |
合意して成立した調停に、通常の意味での不服申立てはない |
法律上認められる場合は即時抗告を検討する |
どの調停を利用するか迷っている場合は、離婚前、離婚後、別居中で手続が異なる点から整理すると分かりやすくなります。
養育費請求調停が不成立になると審判手続が始まります
養育費請求調停で話合いがまとまらず、不成立になった場合は審判手続が始まります。この場合、同じ養育費について改めて審判を申し立て直す必要はありません。
一方で、養育費の審判を最初から申し立てる方法も制度上あります。ただし、裁判所がまず話合いによる解決を試みることが相当と判断し、調停に付す場合があります。
自分で「審判へ進む」と選択する場面だけではなく、養育費請求調停が不成立になった後に、手続の段階が変わる場合もあると理解しておくとよいでしょう。
審判開始から確定までに行われること
審判では、裁判官が当事者から提出された書類や必要な調査結果等を基に判断します。事件によって追加資料の提出や事情を聴く期日が設けられることがあるため、全員が同じ回数・同じ順番で進むわけではありません。
| 段階 |
主な内容 |
| 審判手続の開始 |
調停不成立後に審判手続が始まり、裁判所から今後の進め方が案内される |
| 資料・主張の整理 |
父母の収入、子どもの状況、希望額とその理由等を、書面や資料で示す |
| 必要な調査・審理 |
裁判所が追加資料を求めたり、当事者から事情を聴いたりすることがある |
| 裁判官の判断 |
提出資料や調査結果等を踏まえ、養育費の月額、支払開始時期、支払方法等を判断する |
| 審判の告知 |
審判書等により判断内容が当事者へ告知される |
| 即時抗告期間・確定 |
不服申立てがなければ、即時抗告期間の経過後に審判が確定する |
裁判所から提出期限が示されたときは、その期限までに資料をそろえることが大切です。間に合わない資料がある場合は、そのままにせず、担当の裁判所書記官へ扱いを尋ねてください。
養育費の金額は収入資料と子どもの事情を踏まえて決まります
裁判所は、養育費・婚姻費用算定表を一般的な目安として参照しながら、父母双方の収入、子どもの人数と年齢、個別の事情を踏まえて具体的な金額を判断します。
| 判断に関わる主な事項 |
用意する資料の例 |
| 父母双方の収入 |
源泉徴収票、給与明細、課税証明書、確定申告書等 |
| 子どもの人数・年齢・生活状況 |
戸籍関係書類、学校や保育に関する資料等 |
| 通常の生活費と個別に生じている費用 |
学費、医療費等の金額と継続期間が分かる資料 |
| これまでの取り決めと支払い |
離婚協議書、合意書、調停中に提出した書面、入金履歴等 |
| 希望する月額・開始時期・支払方法 |
希望内容と、その理由を整理した書面 |
算定表は金額を機械的に確定する表ではありません。表のどこを見るかを先に知りたい場合は、子どもの人数・年齢と父母の収入から目安を読む方法を確認できます。
相手が欠席しても申立人の希望額がそのまま認められるとは限りません
相手が調停や審判へ出席しない場合も、それだけで申立人の希望額が採用されるわけではありません。
裁判所は、提出された収入資料、これまでに聴いた事情、必要な調査結果等から判断します。相手の資料が不足している場合に、裁判所が追加資料を求めたり、他の資料から収入状況を検討したりすることもあります。
申立人側も、希望額だけを伝えるのではなく、自分の収入資料、子どもの年齢と生活状況、継続している費用、希望する支払開始時期を具体的に示すことが大切です。
審判書を受け取ったら支払内容と告知日を確認します
審判の告知を受けたら、養育費の月額だけでなく、支払開始時期、毎月の支払日、支払期間、未払分の扱い等、記載されている内容を読みます。
不服申立てを検討する可能性があるため、審判の告知を受けた日も分かるようにしておきましょう。審判書の一部だけで判断せず、主文と理由を通して読むことが大切です。
審判に不服がある場合は原則2週間以内に即時抗告を検討します
養育費の審判に不服がある場合は、即時抗告という不服申立てを検討できます。
申立期間は、原則として審判の告知を受けた日の翌日から2週間以内です。再審理を行うのは高等裁判所ですが、抗告状は審判をした家庭裁判所へ提出します。
期間が短いため、金額や判断理由に疑問がある場合は、審判書を受け取ってから早めに内容を整理してください。即時抗告をしても金額が変わるとは限らず、変更を求める理由と資料が必要です。
審判が確定した後に支払われない場合は回収手続を検討します
支払いを命じる審判が確定すると、審判書等は強制執行の根拠となる書面です。ただし、審判が確定しただけで相手の給与や預金から自動的に入金されるわけではありません。
審判で定められた期限を過ぎても支払われない場合は、履行勧告や強制執行等のうち、手元の書面と相手の財産状況に合う方法を検討します。具体的な差押えの流れは別の記事で説明しています。
養育費の審判では資料と期限を分けて整理しましょう
養育費請求調停が不成立になっても、養育費を決める手続がそこで終わるわけではありません。審判では、裁判官が父母双方の資料と子どもの事情を踏まえて判断します。
調停中に提出した資料、審判で追加を求められた資料、審判書の内容、告知日を分けて整理しておくと、次に対応すべきことが分かりやすくなります。