養育費の審判とは、父母の話合いだけでは養育費を決められないときに、家庭裁判所の裁判官が提出された資料とそれぞれの事情を確認し、養育費の内容を決めるものです。
養育費請求調停で合意できず、不成立になった場合は、同じ事件が審判へ移ります。改めて審判を申し立て直す必要はありません。
審判では、裁判官が養育費の月額や支払開始時期などについて結論を示します。
養育費の審判では、裁判官が結論を示します
調停は、調停委員を介して父母が話し合い、合意を目指す場です。審判では、父母が最後まで同じ意見にならなくても、裁判官が提出資料や必要な調査結果を確認し、養育費の内容を決めます。
審判は公開の法廷で父母が言い争う裁判とは異なります。家庭裁判所の中で、子どもの生活に関わる事情や父母の収入を確認しながら進みます。
どのような場合に養育費の審判になるのでしょうか?
最も多いのは、養育費請求調停で金額や支払開始時期について合意できず、調停が不成立になった場合です。この場合、調停中に提出した資料を引き継いで審判が始まります。
養育費の審判を最初から申し立てることもできます。ただし、家庭裁判所がまず話合いによる解決を試す方がよいと考えた場合は、調停へ移されることがあります。
すでに決めた養育費について、父母の収入や子どもの事情が大きく変わり、増額または減額を求めたものの調停で合意できなかった場合も、審判で判断されます。
調停が不成立になった後、何が行われますか?
調停が不成立になると、裁判所から今後の進め方や追加で提出する資料について案内されます。事件によっては、裁判官が書面だけでなく父母から事情を聴いたり、家庭裁判所調査官が事情を調べたりすることもあります。
調停不成立から審判確定までの5段階- 01 調停不成立後に審判が始まる — 同じ養育費について審判を申し立て直す必要はありません。裁判所から今後の進め方が案内されます。
- 02 必要な資料を追加で提出する — 裁判所から求められた収入資料、子どもの費用、支払状況等を期限までに提出します。
- 03 裁判官が資料と事情を確認する — 事件によっては父母から事情を聴き、家庭裁判所調査官による調査が行われることもあります。
- 04 審判で養育費の内容が決まる — 裁判官が月額、支払開始時期、支払日、支払期間等について判断を示します。
- 05 審判書が届き、確定を待つ — 審判書の内容と届いた日を確認します。不服がある場合の即時抗告期間は原則2週間です。
裁判所から提出期限を示された資料は、期限までに出すようにしてください。間に合わない事情があるときは、何も伝えず期限を過ぎるのではなく、担当の裁判所書記官へ連絡してください。
裁判官は何を見て養育費を決めるのでしょうか?
裁判官は、養育費・婚姻費用算定表を一般的な目安にしながら、父母と子どもの具体的な事情を確認します。
- 父母それぞれの収入と働き方
- 子どもの人数、年齢、現在の生活状況
- 継続して必要な学費、医療費、保育料等
- これまでの養育費の取り決めと支払状況
- 養育費をいつから支払ってほしいのか
算定表の金額帯だけで自動的に決まるわけではありません。算定表をどのように読むのかは、別の記事で具体的に説明しています。
たとえば、金額だけが折り合わなかった場合
父母ともに養育費を支払うこと自体には異論がなくても、月額について合意できないことがあります。
たとえば、調停中に父母双方の収入資料が提出され、子どもの年齢や学校生活に必要な費用も説明されているものの、希望額に差が残った場合です。審判では、裁判官が算定表を目安にしながら、提出された収入資料と子どもの具体的な事情を確認し、月額や支払開始時期などを決めます。
相手が審判に出席しないと、こちらの希望どおりになりますか?
相手が出席しないことだけで、申立人の希望額がそのまま認められるわけではありません。
裁判官は、提出済みの収入資料、調停で聴いた事情、必要な調査結果等を基に結論を出します。相手の収入資料が不足している場合は、裁判所が追加提出を求めたり、確認できる資料から収入状況を認定したりすることがあります。
申立人側も、自分の収入、子どもの年齢と生活状況、継続して必要な費用、希望する支払開始時期を、資料とともに具体的に伝えることが大切です。
審判では、養育費の何が決まるのでしょうか?
審判で決まるのは月額だけではありません。事件の内容に応じて、養育費をいつから支払うか、毎月の支払日、いつまで支払うか、すでに支払期限を過ぎた分をどう扱うか等も判断の対象になります。
審判書が届いたら、最初に主文を読み、月額、支払開始時期、支払日、支払期間、未払分の記載を確認してください。理由の部分には、裁判官がどの資料と事情を踏まえて判断したかが示されています。
審判書が届いた後は、何を確認すればよいでしょうか?
審判書が届いた日を記録し、主文と理由を最後まで確認してください。審判の内容に不服がある場合は、原則として審判の告知を受けた日の翌日から2週間以内に、審判をした家庭裁判所へ即時抗告の書面を提出します。
即時抗告があると、高等裁判所が改めて審理します。即時抗告がなく期間を過ぎると審判は確定し、確定した内容に従って養育費を支払う義務が生じます。
審判が確定しても、相手の口座から養育費が自動的に振り込まれるわけではありません。決められた期限を過ぎても支払われない場合の回収方法は、強制執行の記事で説明しています。
養育費の審判で分からないことがある方へ
調停が不成立になった直後は、何を追加で出すのか、裁判官が何を確認するのか、審判書が届いた後にいつまでに対応するのかが分かりにくいものです。
提出資料や審判書の読み方に迷ったときは、期限を過ぎる前に弁護士へ相談してください。現在の資料と裁判所から届いた書面を確認し、次に必要な対応を具体的に整理できます。