養育費を請求したいのに、相手が転居し、現在の住所が分からないことがあります。
家庭裁判所へ養育費請求調停や審判を申し立てる場合は、裁判所から相手へ書類を送るため、原則として住所または送達場所が必要です。
住所が分からないときは、以前の住所や本籍地など、手元にある情報から住民票や戸籍の附票を請求できるかを見ていきます。住民票上の住所にも住んでいない場合は、家庭裁判所で公示送達を検討できることがあります。
最初に相手について分かる情報を整理します
住所を調べる手がかりになるのは、現在の住所だけではありません。手元にあるものから、次の情報をメモにまとめておきましょう。
- 相手の氏名と生年月日
- 相手の本籍地
- 以前の住所と、転居した時期
- 相手の電話番号
- 養育費について書かれた公正証書・調停調書・離婚協議書・合意書
- 未払いの対象月と入金履歴
すべてが分からなくても構いません。分かる情報と分からない情報を分けると、市区町村へ何を尋ねるか、弁護士へ何を伝えるかを整理しやすくなります。
住民票と戸籍の附票では分かる住所が異なります
住民票と戸籍の附票は、どちらも住所に関する公的な記録ですが、記載される範囲と請求先が異なります。
| 資料 |
主に分かること |
請求先の例 |
| 住民票・住民票の除票 |
住民票上の住所。除票には転出先が記載される場合があります |
相手の現在または以前の住所地の市区町村 |
| 戸籍の附票 |
その戸籍に在籍している間の住所の履歴 |
相手の本籍地の市区町村 |
以前の住所は分かるものの転居先が分からない場合は、住民票の除票に転出先が記載されているかを見ます。本籍地が分かる場合は、戸籍の附票から住所の履歴をたどれることがあります。
ただし、住民登録が実際の居住場所と一致しているとは限りません。取得した書類に住所が記載されていても、現在そこに住んでいるとは限らない点に注意が必要です。
市区町村へ請求するときは利用目的と資料を伝えます
養育費の受取人であっても、相手の住民票や戸籍の附票を無条件に取得できるわけではありません。
第三者として請求する場合は、未払い養育費を請求するために必要であること、取得した書類をどこへ提出するのかを具体的に記載します。
本人確認資料のほか、公正証書、調停調書、離婚協議書、合意書、入金履歴など、養育費の取り決めと未払いを示す資料を求められる場合があります。
必要な資料、手数料、郵送請求の方法は市区町村によって異なります。請求前に、相手の以前の住所地または本籍地の市区町村へ、養育費請求のための第三者請求に必要なものを尋ねておくと準備しやすくなります。
弁護士へ依頼した場合も住所が必ず分かるわけではありません
弁護士は、依頼を受けた養育費請求に必要な範囲で、戸籍・住民票等の職務上請求を行える場合があります。
相手の携帯電話番号などが分かる場合は、所属弁護士会が必要性・相当性を審査したうえで、官公庁・企業等へ弁護士会照会を行える場合もあります。
職務上請求も弁護士会照会も、依頼と関係なく自由に使える制度ではありません。照会先から回答が得られない場合もあるため、住所の判明を保証するものではありません。
弁護士へ相談するときは、相手の氏名・生年月日、本籍地、以前の住所、電話番号、取り決め書面など、分かる情報をまとめて伝えてください。
住民票上の住所に住んでいない場合は公示送達を検討します
住民票上の住所へ裁判所の書類を送っても届かず、ほかの送達場所も分からない場合があります。
このような場合は、家庭裁判所へ家事審判を申し立て、公示送達によって手続を進められるか検討します。
公示送達は、住所が分からないというだけで最初から選べる方法ではありません。以前の住所、住民票、戸籍の附票、連絡先などを調べた経過と、通常の方法では送達場所が分からなかったことを裁判所へ説明する必要があります。
どこまで調べる必要があるか、どの資料を提出するかは事案によって異なります。申立先となる家庭裁判所へ、調査した内容を伝えて確認しましょう。
相手へ直接連絡することが危険な場合は安全を優先します
暴力、威迫、執拗な連絡などがある場合は、住所を調べるために相手本人や共通の知人へ連絡する必要はありません。
住民票の閲覧制限などが関係すると、通常と同じ方法で書類を取得できないこともあります。市区町村、家庭裁判所、弁護士へ事情を伝え、安全に配慮した方法を選んでください。
住所が分かった後は養育費の取り決めに合う手続を選びます
住所が分かった後に何をするかは、養育費についてどのような書面があるかによって変わります。
取り決めがない場合や話し合いがまとまらない場合は、養育費請求調停を申し立てる方法があります。公正証書や調停調書などがある場合は、書面の内容に合う請求方法を選びます。
相手の住所が分からない場合は、以前の住所、本籍地、生年月日、電話番号、取り決め書面など、手元にある情報から整理してみてください。
弁護士法人ワンピース法律事務所では、未払い養育費の請求に必要な住所調査についてご相談を受け付けています。分かる情報と手元の書面をLINEでお送りください。