「共同親権になったら、養育費は半分になるの?」「単独親権なら、養育費を多く受け取れるの?」と疑問に思う方もいると思います。
結論から言うと、共同親権と単独親権のどちらを選んでも、親権の違いだけで養育費の金額は変わりません。共同親権だから半額や0円になることも、単独親権だから増額されることもありません。
親権は、子どもの日常の世話や教育、進学や医療などに関わる重要な判断、子どもの財産管理についての権限と責任です。養育費は、子どもの食費、住居費、衣類、教育費、医療費などを父母が負担するためのお金です。役割が違うため、親権者の決め方と養育費の金額は別に考えます。
共同親権と単独親権で、養育費に違いはある?
親権の種類だけで、養育費の支払義務や金額が変わることはありません。共同親権でも単独親権でも、父母はそれぞれの収入に応じて子どもの生活費を負担します。
共同親権の場合
離婚後も父母双方が親権者になります。ただし、共同親権になったからといって、子どもが父母の家で同じ日数ずつ暮らすとは限りません。子どもが主に一方の親と暮らし、もう一方の親が養育費を支払う形もあります。
単独親権の場合
父母の一方だけが親権者になります。親権者にならなかった親も、子どもの親であることに変わりはなく、子どもの生活を支える責任を負います。
共同親権と単独親権で違うのは、離婚後に誰が親権を持つかです。どちらを選んでも、父母には子どもの生活費を分担する責任があります。
共同親権と単独親権は、2026年4月1日から選べるようになりました
2026年4月1日に改正民法が施行され、離婚後は、父母双方を親権者とする共同親権と、父母の一方だけを親権者とする単独親権のどちらかを選べるようになりました。
父母の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所が子どもの利益を基準に親権者を定めます。共同親権と単独親権のどちらか一方が原則という制度ではありません。虐待やDVのおそれがある場合など、共同して親権を行うことが難しいときは、単独親権となります。
養育費の金額は、親権ではなく父母の収入と子どもの事情で決まります
家庭裁判所で養育費を決めるときは、養育費算定表が標準的な月額の目安として使われています。算定表へ当てはめる主な内容は、次のとおりです。
- 養育費を支払う親の収入
- 養育費を受け取る親の収入
- 子どもの人数
- 子どもの年齢
算定表に収入を当てはめるときは、給与所得者は源泉徴収票の「支払金額」、自営業者は確定申告書の「課税される所得金額」を基礎にします。私立学校の学費や継続的な医療費など、算定表に含まれる標準的な生活費を超える支出があるときは、その費用をどのように分担するかを別に話し合うことがあります。
算定表には「共同親権」「単独親権」を選ぶ欄はありません。親権の種類ではなく、父母の収入と子どもの人数・年齢をもとに月額の目安を出します。
共同親権では、誰が誰へ養育費を支払う?
共同親権でも、子どもが主に一方の親と暮らしている場合は、もう一方の親が毎月の養育費を支払う形が一般的です。子どもが母親と暮らしていれば必ず父親が支払うという決まりではなく、父親と暮らしている場合は母親が支払うこともあります。
父母の話し合い、または家庭裁判所の手続で、子どもの日常生活を主に支えているのはどちらか、父母の収入にどの程度の差があるか、学費などをそれぞれが直接いくら負担しているかを踏まえ、誰が毎月いくら支払うかを定めます。
父母が同じ日数ずつ子どもを監護すれば、養育費は半分や0円になる?
共同親権と単独親権のどちらでも、父母が一定期間ずつ子どもと暮らし、日々の世話や生活費を分担することはできます。同じ日数ずつ子どもと暮らすだけで、養育費が半分や0円になるわけではありません。
父母双方の家で一定期間ずつ暮らす場合は、食費や日用品費などをそれぞれが直接負担します。そのうえで、父母の収入差、住居費や学校費をどちらが負担するか、衣類や学用品をどちらが用意するかを毎月の支払額へ反映させます。
父母の収入と直接負担する費用が近い場合は、定期的な支払額を少なくする合意もあり得ます。一方で、収入差が大きい場合や、一方が学校費などを多く負担している場合は、監護する日数が近くても養育費の支払いが必要になることがあります。
単独親権なら、養育費は共同親権より高くなる?
単独親権を選んだことだけで、養育費が高くなるわけではありません。
親権者となった親が子どもと暮らし、日常の生活費を主に負担している場合は、親権者ではない親へ養育費を請求できます。ただし、月額は単独親権であることへの対価ではなく、父母の収入と子どもの生活費を分担した結果として決まります。
単独親権から共同親権へ変更した場合、今までの養育費はどうなる?
いいえ。単独親権から共同親権へ変更したという理由だけで、すでに決めた養育費が自動的に変わることはありません。離婚協議書、公正証書、調停調書、審判書などで決めた月額と支払期間は、そのまま続きます。
相手から「共同親権だから来月から半額にする」と言われても、一方的に減額することはできません。金額を変えるには、父母で変更後の内容に合意するか、家庭裁判所の養育費増額・減額調停で新しい金額を定めます。
進学費用や医療費は、共同親権なら半分ずつ負担する?
共同親権では、進学や子どもに大きな影響を与える医療について、父母で話し合う場面があります。ただし、進学先や治療方針を一緒に決めたからといって、その費用を必ず半分ずつ負担することにはなりません。
入学金、授業料、入院費、手術費などは、父母の収入、毎月の養育費に含まれる範囲、実際にかかった金額を示し、どの割合で負担するかを話し合ってください。
月2万円の法定養育費は、共同親権と単独親権で変わる?
親権の種類によって月2万円が変わることはありません。2026年4月1日以後に養育費を決めずに離婚した場合、離婚の時から引き続き、子どもと暮らして日々の世話や生活を主に支えている親は、もう一方の親へ子ども1人につき月2万円の法定養育費を請求できることがあります。
法定養育費は、共同親権か単独親権かで金額が変わる制度ではありません。通常の養育費を決めるまでの暫定的な金額であり、養育費の相場や最低額でもありません。
2026年3月31日までに離婚している場合はどうなる?
改正前に離婚し、父母の一方を親権者と定めている場合、2026年4月1日になっても自動的に共同親権へ変わりません。2026年3月31日までに離婚した場合は、子ども1人につき月2万円の法定養育費も発生しません。
施行後に家庭裁判所へ親権者変更を申し立てることはできますが、子どもの利益を基準に、共同親権へ変更するかどうかが判断されます。親権者が変更されても、すでに決めた養育費の金額まで同時に変わるわけではありません。
共同親権でも単独親権でも、養育費は同じ基準で決まります
共同親権でも単独親権でも、父母には子どもの生活費を分担する責任があります。
養育費の金額は、共同親権か単独親権かではなく、父母の収入、子どもの人数と年齢、子どもが主に暮らす場所、父母が直接負担する費用をもとに決まります。共同親権だから半額、単独親権だから増額と考えるのではなく、毎月の支払額と、それぞれが直接負担する費用を具体的に話し合ってください。