「今は養育費を払ってもらっているんですが、いつ止まるか分からなくて不安です。」
こういったご相談を、よくいただきます。
今は養育費が振り込まれている。でも、それがいつまで続くか分からない。毎月の振込日が近づくたびに、スマホで口座を確認する手が震える。振り込まれていたらホッとして、でもまた来月が怖くなる。
この不安を抱えながら生活している方は、本当に多いです。
この相談を受けたとき、いつも感じること
養育費が「今は払われている」という状況は、一見すると問題がないように見えます。周りからも「もらえてるならいいじゃない」と言われることがあるかもしれません。
でも、==「いつ止まるか分からない」という不安は、止まっているのと同じくらい苦しい==ものだと思っています。
毎月の生活設計が立てられない。子どもの進学を考えるとき、養育費が続く前提で計画していいのか分からない。その不安は、日常のあらゆる場面に影響します。
だからこそ、「今のうちに備えておきたい」と感じたその気持ちは、とても大切なことだと思います。
養育費が突然止まるのは、なぜか
養育費の支払いが途中で止まるケースは、残念ながら珍しくありません。厚生労働省の調査でも、==養育費を継続して受け取れている方は全体の3割にも満たない==というデータがあります。
止まる理由には、いくつかのパターンがあります。
| 理由 |
よくある状況 |
| 相手の再婚 |
新しい家庭ができて「もう払えない」と言い出す |
| 転職・退職 |
「収入が減った」「仕事を辞めた」を理由にする |
| 時間の経過 |
離婚から年数が経ち、支払い意識が薄れていく |
| 新しい子どもの誕生 |
新しい家庭の出費を理由にする |
| 音信不通 |
引っ越しや電話番号の変更で連絡が取れなくなる |
どれも、あなたには何の落ち度もありません。相手側の事情で、突然止まるのです。
養育費が止まる前に、今やっておける3つの備え
不安を感じている今だからこそ、備えておけることがあります。
養育費の取り決めを公正証書にしておく
養育費の取り決めを「公正証書」にしておくと、万が一止まったときに、裁判を起こさなくてもすぐに差押えの手続きに入ることができます。
今の取り決めが口約束やLINEのやり取りだけの場合、公正証書にしておくことを強くお勧めします。費用は数万円程度で、公証役場で作成できます。
相手の勤務先を確認しておく
給与の差押えをするには、相手がどこで働いているかの情報が必要です。今は分かっていても、転職されると分からなくなります。
もし分からなくなっても、「第三者からの情報取得手続」を使えば、裁判所を通じて調べる方法もあります。ただ、今のうちに把握しておくに越したことはありません。
養育費の振込記録を保存しておく
毎月の振込記録は、「これまで払っていたのに止まった」という証拠になります。通帳のコピーやアプリのスクリーンショットを、月ごとに保存しておいてください。
これがあるのとないのとでは、止まったあとの対応のスピードが全く違います。
養育費が止まったとき、慌てないために
実際に養育費が止まった場合、段階的に対処していく方法があります。
| 段階 |
方法 |
期間の目安 |
| 第1段階 |
弁護士名義の催告書(内容証明郵便)を送る |
1〜2週間 |
| 第2段階 |
養育費請求の調停を申し立てる |
1〜3か月 |
| 第3段階 |
調停で決まらなければ審判で決定 |
調停不成立後すぐ |
| 第4段階 |
給与や預貯金の差押え |
債務名義取得後すぐ |
意外に思われるかもしれませんが、==弁護士名義の催告書を送るだけで、支払いが再開するケースは実は多い==のです。相手も「弁護士が出てきた」となると、無視し続けるわけにはいかなくなります。
養育費の備えは「今」が一番いいタイミング
養育費が止まってから慌てて動くよりも、今のうちに備えておくほうが、気持ちの面でもずっと楽です。
弁護士として多くのケースを見てきた中で感じるのは、「止まってから相談に来る方」と「止まる前に備えていた方」とでは、その後の対応のスムーズさが全く違うということです。
「公正証書を作った方がいいのか」「今の取り決め内容で大丈夫なのか」「もし止まったらどうすればいいのか」。そういった確認だけでも構いません。
LINEで今の状況を教えていただければ、あなたに合った備え方を一緒に考えていきましょう。