養育費が振り込まれず、LINEやメールで催促しても返答がないときは、未払いの対象月・金額・支払期限を内容証明郵便で伝える方法があります。
内容証明郵便を使うと、いつ、誰から誰へ、どのような内容の文書を送ったかを記録に残せます。
ただし、相手へ支払いを強制する制度ではありません。内容証明を送っただけで、給与や預金を差し押さえられるわけでもありません。
内容証明郵便で証明されるのは送った文書の内容と差出日です
内容証明郵便によって、未払いの対象月、請求額、支払期限を相手へ伝えた記録を残せます。
一方で、文書に書いた内容が真実であることや、相手に記載どおりの支払義務があることまで証明するものではありません。
内容証明を受け取った相手が支払いに応じる場合はありますが、送れば支払われると約束できる制度ではないことを踏まえて使うようにしてください。
書き始める前に取り決めと入金履歴を照らし合わせます
請求書を書く前に、養育費の取り決めが分かる書面と、通帳・インターネットバンキングの入金履歴を照らし合わせます。
取り決めた月額と実際の入金を月ごとに並べ、入金のない年月、月ごとの金額、未払いの合計額を計算しましょう。
LINEやメールで支払予定や分割払いの提案が届いている場合は、その文章と日時も残します。相手の現在の住所・氏名と、振込先に指定する口座も確認してください。
口約束だけの場合や月額を決めていない場合は、相手が金額や期間を争うことがあります。内容証明に事実と異なる金額を書かないよう、分かっている範囲と合意できていない範囲を分けることが大切です。
未払い養育費の請求書には対象月・合計額・支払期限を書きます
請求書には、次の内容を記載します。
| 書く内容 |
記載する情報 |
| 差出日 |
内容証明を差し出す年月日 |
| 差出人・受取人 |
父母それぞれの住所と氏名 |
| 取り決め |
書面名、作成日、子ども、月額、支払日 |
| 未払いの対象 |
入金のない年月と月ごとの金額 |
| 請求する合計額 |
未払い分と今後の月額を分けて記載 |
| 支払期限・振込先 |
年月日、金融機関名、支店名、口座番号、名義 |
| 期限後の対応 |
実際に検討する手続だけを簡潔に記載 |
「至急お支払いください」だけでは、何月分をいくら請求しているか分かりません。対象月・合計額・期限は、手元の書面と入金履歴に合わせて具体的に書きましょう。
侮辱する言葉、勤務先やSNSへの連絡予告、面会交流との交換条件は書かないようにしてください。
内容証明郵便で送る未払い養育費請求書の文例
次の文例は、公正証書で月額と支払日を取り決めている場合の一例です。年月日・金額・口座は仮の内容なので、手元の書面と入金履歴に合わせて置き換えてください。
強制執行へ使える書面がない場合は、最後の一文をそのまま使わないでください。「家庭裁判所への養育費請求調停を検討します」など、実際に取る予定がある対応へ置き換えます。
内容証明郵便は郵便局の窓口または電子内容証明で送れます
郵便局の窓口から送る場合は、受取人へ送る内容文書1通、謄本2通、宛名を書いた封筒、郵便料金を準備します。内容証明は一般書留とする必要があります。
すべての郵便局で取り扱っているわけではありません。謄本には字数・行数の制限もあるため、差し出す郵便局へ取扱日と準備物を事前に確認しましょう。
電子内容証明はインターネットから申し込めます。利用登録、専用ソフト、支払方法等の準備が必要です。
料金は、郵便物の基本料金に一般書留・内容証明の加算料金が加わり、配達証明を付ける場合はその料金も必要です。料金改定があるため、発送時点の金額を郵便局で確認してください。
発送後は謄本・受領証・配達記録を保存します
発送後は、差出人用の謄本、郵便局の受領証、追跡番号、配達証明を一緒に保管しましょう。
相手から返答や支払予定が届いた場合は、その文章と日時も保存してください。一部の支払いがあった場合は、どの月の養育費に充てる支払いかを文章で確認すると、未払い残額を整理しやすくなります。
内容証明による催告では時効の完成が6か月猶予されます
内容証明に記載した請求が民法上の催告に当たる場合、その時から6か月を経過するまで時効の完成が猶予されます。
ただし、内容証明郵便を送っただけで時効が更新されるわけではありません。完成猶予中に再び催告しても、同じ完成猶予の効力は生じません。
時効が迫っている場合は、6か月の間に調停の申立てなど次の手続が必要かを検討してください。
内容証明を無視されたら手元の書面に応じて次の手続を選びます
強制執行認諾文言付き公正証書、調停調書、審判書、判決書などがある場合は、給与や預金等の強制執行を検討できます。
内容証明郵便自体は債務名義ではありません。内容証明だけを使って差押えを申し立てることはできません。
取り決めがない場合や、直ちに強制執行へ使える書面がない場合は、養育費請求調停で金額や支払開始時期を定める方法があります。
内容証明の書き方や送付後の対応を相談したい方へ
内容証明を送るかどうかは、取り決めの有無、未払いの期間、相手との連絡状況、時効、強制執行へ使える書面の有無によって判断が変わります。
相談するときは、養育費の取り決めが分かる書面、入金履歴、相手とのメッセージ、相手の住所が分かる資料を、手元にあるものから整理しましょう。
弁護士法人ワンピース法律事務所では、未払い養育費の回収についてLINEで相談を受け付けています。内容証明を送る前の段階でも、送った後に返答がない場合でも、現在の状況に合う進め方を一緒に整理します。