養育費の債務名義とは、相手が約束どおり養育費を支払わないときに、裁判所へ強制執行を申し立てる根拠になる公的な書面です。
債務名義に当たる主なものには、調停調書、審判書、判決書・和解調書、強制執行認諾文言のある公正証書があります。一方、父母だけで作った離婚協議書やLINEのやり取りは、通常はそれだけで債務名義にはなりません。
手元の書面が債務名義に当たるかどうかは、書面の名前と、裁判所・公証役場のどちらが作成したものかを確認することが大切です。
債務名義は、養育費の支払いを法的に求めるときの根拠になります
債務名義には、誰が誰に養育費を支払うのか、月額はいくらか、いつまで支払うのかなど、法的に認められた支払義務の内容が記載されています。
父母だけで作った約束の書面とは異なり、裁判所が作成した書面や、一定の条件を満たす公正証書が債務名義になります。
養育費で債務名義になる主な書面は4種類です
書面の名前だけでなく、誰が作成したものか、どのような手続で作られたものかが重要です。
養育費で債務名義になる主な4種類- 01 調停調書 — 養育費請求調停や離婚調停で合意が成立したとき、家庭裁判所が作成する書面です。
- 02 審判書 — 話し合いがまとまらず、家庭裁判所が養育費の内容を定めたときに作成される書面です。
- 03 判決書・和解調書 — 離婚訴訟等で養育費について判決が出た場合や、裁判上の和解が成立した場合の書面です。
- 04 強制執行認諾文言のある公正証書 — 養育費を支払わないときは直ちに強制執行に服する旨を記載し、公証人が作成した書面です。
家庭裁判所の調停や審判で養育費を決めた方は、調停調書または審判書を確認してください。離婚訴訟で養育費が決まった方は、判決書や和解調書が該当します。
公証役場で公正証書を作った方は、支払いがなければ直ちに強制執行を受けても異議がない、という内容が入っているかが大切です。「公正証書」という名称だけで債務名義かどうかを決めることはできません。
離婚協議書・合意書・LINEは債務名義になるのでしょうか?
父母だけで作成した離婚協議書や合意書、LINEのやり取り、口約束は、養育費を決めた証拠になる場合があります。しかし、通常は裁判所や公証人が作成した公的な書面ではないため、それだけで債務名義にはなりません。
書面に父母の署名があり、養育費の金額や支払日が具体的に書かれていても、この点は同じです。私的な合意書面が無意味になるわけではありませんが、債務名義とは役割が異なります。

手元の書面では、どこを確認すればよいでしょうか?
書面の表紙や最初のページを開き、次の項目を確認してください。
- 家庭裁判所、公証役場、裁判所の名称があるか
- 「調停調書」「審判書」「判決書」「和解調書」「公正証書」のどれに当たるか
- 養育費の月額、支払日、支払期間、父母と子どもが特定できる内容があるか
- 公正証書の場合、支払わないときは直ちに強制執行に服する旨があるか
手元にコピーや写真しかない場合でも、書面の名称と作成した機関が分かれば、正本の交付について問い合わせる先を確認できます。
債務名義がない場合、どのように取得するのでしょうか?
債務名義を得る方法は、相手と養育費について合意できるかどうかで異なります。
相手と合意できる場合は、公正証書にする方法があります
養育費の月額、支払日、支払期間などについて合意できる場合は、公証役場で強制執行認諾文言のある公正証書を作る方法があります。父母だけで作った離婚協議書を保管している場合も、その内容を基に公正証書の作成を相談できます。
相手と合意できない場合は、家庭裁判所の調停を利用します
金額や支払期間について話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所へ養育費請求調停を申し立てる方法があります。調停で合意が成立すると、その内容を記載した調停調書が作成されます。
債務名義をなくした場合は、作成した機関を確認してください
調停調書、審判書、判決書、和解調書は、その手続をした裁判所へ正本や証明書の交付について問い合わせます。公正証書は、原本を保管している公証役場へ確認します。
どの裁判所や公証役場で作ったか分からない場合は、当時の通知、封筒、事件番号が分かる書面、相談時の記録などを手掛かりにしてください。
債務名義を取得した後の手続は、別の記事で詳しく説明しています
債務名義があることを確認できた後、未払い養育費を実際に回収するには、強制執行を申し立てるための別の準備が必要です。申立先や必要書類、給与・預貯金を対象にする場合の流れは、強制執行の記事で確認できます。
まとめ
養育費の債務名義は、調停調書、審判書、判決書・和解調書、強制執行認諾文言のある公正証書など、法的に認められた支払義務を示す公的な書面です。
離婚協議書、合意書、LINE、口約束は、合意を示す資料にはなりますが、通常はそれだけで債務名義になるわけではありません。手元の書面がどれに当たるか分からない場合は、書面の名称と作成した機関を確認すると、次に必要なことが見えやすくなります。
弁護士法人ワンピース法律事務所では、未払い養育費についてLINEで無料相談を受け付けています。手元の書面が債務名義に当たるか分からない場合も、書面の名称や作成した機関が分かる範囲からご相談ください。