これから養育費を公正証書にしたいと思っている方の中には、「どこの公証役場へ行けばよいのか」「公証人に文章まで作ってもらえるのか」「二人そろって出向く必要があるのか」と迷っている方もいると思います。
養育費の月額、支払日、支払期間などを父母で決め、合意内容を公証役場へ提出すると、公証人が公正証書に記載する文章を作ります。条件が決まっていれば、弁護士などへ依頼せず、父母だけで手続を進めることもできます。
公正証書に記載できるのは、父母が合意した内容です。 月額や支払期間について意見が合わないままでは、公証役場で公正証書を作ることはできません。まず父母で話し合い、合意できない場合は、弁護士へ相談する方法や家庭裁判所の調停を利用する方法があります。
養育費の公正証書とは?
公正証書は、公証人が法律に従って作成する公文書です。養育費を公正証書にすると、父母が合意した月額、支払日、支払期間などが正式な書面に残ります。
公証人は、父母本人の意思を確かめ、法律に反する内容や意味が分かりにくい部分がないかを確かめたうえで公正証書を作ります。作成後は、養育費について何を約束したのかを公正証書で確認できます。後から父母の説明が食い違った場合も、作成時の合意内容を示す書面になります。
公正証書の原本は、紙で作成した場合は公証役場に保管されます。電子で作成した場合は、日本公証人連合会のシステム内で、公正証書を作成した公証人が管理します。作成が終わると、父母には正本や謄本が交付されます。紙で受け取る方法と、電子データで受け取る方法があります。
養育費の公正証書を作る6つの手順
養育費の条件を父母で決めたら、公証役場へ電話して予約します。予約後に必要書類と合意メモを提出し、公証人が作った文章を父母が確かめてから作成日を迎えます。ここからは、実際の順番に沿って説明します。
1. 養育費の条件を父母で決める
対象となる子ども、子ども一人ごとの月額、開始月、終了時期、毎月の支払日、振込先、特別費用、未払い時の扱いについて合意します。
法律用語を使う必要はありません。公証役場へ提出するメモには、父母が合意した内容を具体的に書いてください。たとえば、「子ども一人につき月5万円」「2026年10月分から22歳になった後の3月まで」「毎月25日までに指定口座へ振り込む」といった内容です。
2. 公証役場へ電話して予約する
利用する公証役場を決めたら、まず電話をして「養育費の公正証書を作りたい」と話してください。公証役場によっては、相談や申込みも事前予約制です。予約の電話では、空いている日時と、最初に用意する書類を聞いてください。
3. 予約した公証役場へ必要書類と合意メモを提出する
予約した公証役場へ、本人確認書類、戸籍謄本、合意内容を記したメモを提出します。公証役場へ持参するほか、事前にメールや郵送で提出するよう案内される場合もあります。
資料が足りない場合は、公証役場から追加の案内があります。印鑑登録証明書や戸籍謄本には発行日の条件があるため、取得する前に必要な部数と有効期間を聞いておくと、取り直しを防げます。
4. 公証人が公正証書の文章を作る
公証人が、父母の合意と提出資料をもとに、公正証書に記載する文章を作ります。法律上問題のある内容や意味が分からない内容があれば、公証人から説明や資料を求められることがあります。
最初に示された文章で確定する必要はありません。父母の合意と違う部分や、希望が反映されていない部分は、どこが違うかを公証人へ伝えて直してもらいます。意味が分からない部分は、説明を受けてから次へ進んでください。
5. 作成前に公正証書の内容を確かめる
子どもの氏名と生年月日、月額、開始月と終了日、毎月の支払日、振込先、特別費用、遅延損害金、強制執行認諾文言を一項目ずつ確かめてください。
特に、数字の誤り、「大学卒業まで」のように終わる日が分からない表現、「特別費用は別途協議する」だけで金額や期限が決まっていない条項は、未払い時の請求に影響します。
6. 作成日に本人確認を受ける
2025年10月1日から、公正証書は原則として電子データで作成されます。作成日には、本人または代理人が内容を読み、間違いがなければ承認します。電子データで作る場合は電子サインをし、書面で作る場合は署名・押印をします。
作成日に手数料を支払い、公正証書の正本や謄本を受け取ります。正本や謄本は、紙または電子データで受け取れます。受け取る形式によって費用が変わります。
予約から完成まで、どのくらいかかる?
公証役場へ電話した日に、公正証書が完成するわけではありません。必要書類と合意メモを提出した後、公証人が公正証書の文章を作り、父母が内容を確かめてから作成日を迎えます。
かかる日数は、公証役場の予約状況と、公正証書へ入れる内容によって変わります。完成させたい日がある場合は、最初の電話で希望日を話し、その日までに作れるかを聞いてください。
養育費の公正証書を作るときにかかる費用
公証役場で支払う主な費用は、公証人の基本手数料と、正本・謄本の交付費用です。このほか、戸籍謄本や印鑑登録証明書を取得する費用、郵送を利用する場合の郵送料がかかります。
基本手数料は、養育費5年分までの合計額で決まります
養育費の基本手数料は、毎月の養育費に支払月数を掛けた合計額で決まります。ただし、支払期間が5年を超える場合でも、手数料の計算に使うのは5年分までです。
たとえば、毎月5万円を13年間支払う場合でも、手数料は13年分ではなく、5年分の300万円をもとに計算します。
毎月5万円の場合は、5万円×12か月×5年=300万円となり、2025年10月1日以後の基本手数料は13,000円です。
毎月の養育費ごとの基本手数料の目安
- 毎月3万円:5年分は180万円、基本手数料は7,000円
- 毎月5万円:5年分は300万円、基本手数料は13,000円
- 毎月8万円:5年分は480万円、基本手数料は13,000円
- 毎月10万円:5年分は600万円、基本手数料は20,000円
基本手数料のほかにかかる費用
- 正本・謄本を書面で受け取る費用:1枚300円
- 電磁的記録で受け取る費用:1件2,500円
- 戸籍謄本、印鑑登録証明書などの取得費用
- 郵送を利用する場合の郵送料
財産分与や慰謝料も同じ公正証書に入れる場合
財産分与と慰謝料も入れる場合は、その金額についても手数料を計算し、養育費部分の手数料と合計します。養育費だけを公正証書にする場合より、基本手数料が高くなることがあります。
養育費の公正証書を作るときに用意する書類
父母が自分たちで公証役場へ行く場合は、本人確認書類、戸籍謄本、合意内容を記したメモを用意します。代理人を立てる場合や、養育費以外の内容も入れる場合は、追加の書類が必要です。
1. 父母それぞれの本人確認書類
父母が本人として手続をする場合は、それぞれ次のいずれかの組み合わせを用意します。
- 印鑑登録証明書と実印
- 運転免許証と認印
- マイナンバーカードと認印
- パスポート、身体障害者手帳または在留カードのいずれかと認印
印鑑登録証明書を使う場合は、発行から3か月以内のものを用意します。公証役場によって案内される組み合わせが違う場合があるため、取得前に予約先へ尋ねてください。
2. 父母と子どもの関係が分かる戸籍謄本
離婚前に公正証書を作る場合は、現在の家族全員が記載された戸籍謄本を用意します。すでに離婚している場合は、父母双方の離婚後の戸籍謄本が必要です。
3. 父母で合意した内容を記したメモ
公証役場へ提出するメモには、少なくとも次の内容を書きます。
- 対象となる子どもの氏名と生年月日
- 子ども一人ごとの月額
- 支払いを始める月と終わる日
- 毎月の支払日と振込先
- 進学費用や医療費をどのように負担するか
- 強制執行認諾文言を入れること
4. 代理人を立てる場合の追加書類
代理人が手続をする場合は、次の書類も用意します。
- 公正証書の内容と代理人へ任せる権限を書いた委任状
- 委任する本人の印鑑登録証明書
- 代理人の本人確認書類
- 父母が合意した契約案または合意内容を記した書面
内容が未記入の白紙委任状は使えません。一人の代理人が父母双方を代理することも原則としてできません。
5. 養育費以外の内容も入れる場合の追加書類
不動産の財産分与を入れる場合は、登記事項証明書と、固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書が必要です。年金分割を入れる場合は、双方の基礎年金番号が分かる年金手帳や年金情報通知書などを用意します。
過去の未払い養育費、連帯保証人、海外居住などを含める場合も、内容に応じた資料が必要です。予定する内容を公証役場に示し、必要書類の案内を受けてください。
養育費の公正証書はどこの公証役場で作れる?
養育費の公正証書は、原則として全国どの公証役場でも作成できます。住所地によって利用する公証役場が決まるわけではありません。
本人が公証役場に出向いて作る場合は、作成日に本人確認と内容の確認を受けます。そのため、自宅や勤務先から通いやすく、予約した日に無理なく行ける公証役場を選ぶとよいでしょう。
最寄りの公証役場は、日本公証人連合会の公証役場一覧から都道府県別に探せます。各公証役場の所在地と電話番号を確認し、作成を希望する時期に予約できるかを尋ねてください。
公証人は、父母が決めた内容を公正証書の文章にします
公正証書の文章は公証人が作ります。父母が先に決めるのは、月額、支払日、支払期間、特別費用などの条件です。
決めた条件を箇条書きにしたメモと必要書類を公証役場へ提出すると、公証人が正式な文章にします。父母は、でき上がった文章を読み、金額、日付、氏名、支払条件に間違いがないかを確かめます。
公証人が、「養育費をいくらにするか」「いつまで支払うか」を父母に代わって決めるわけではありません。条件が決まっていない場合は、父母で話し合う、弁護士に交渉を依頼する、家庭裁判所の調停を利用するといった方法で先に決めます。
養育費の公正証書は自分たちだけで作れる?
はい。養育費の月額、支払日、支払期間などを父母で合意できていれば、専門家に依頼せず、自分たちで公証役場へ申し込めます。
自分たちで進める場合は、父母で決めた月額、支払日、支払期間、特別費用などをメモにして、公証役場へ提出します。その後は、先に説明した6つの手順に沿って、公証人が作った文章を確かめ、作成日に本人確認を受けます。
自分たちだけで進めるのが難しい場合は、どこへ相談する?
養育費の金額や支払期間について意見が合わない場合、相手と直接話したくない場合、どの条件が自分や子どもに不利になるか分からない場合は、弁護士へ相談できます。
父母の合意はできており、その内容を協議書や公正証書の原案にまとめてほしい場合は、行政書士へ依頼できます。ただし、相手との交渉は依頼できません。以下で、弁護士と行政書士に頼める内容を説明します。
相手との話し合いから任せたい場合は弁護士へ
弁護士には、養育費の金額や条件の法律相談、相手との交渉、合意案の作成、公証役場へ提出する文案の作成、具体的な委任に基づく公証手続の代理まで依頼できます。
相手との意見が合わない場合や、どの条項が自分と子どもに不利になるか分からない場合は、最初から弁護士へ相談する方法が適しています。
合意済みの協議書や原案を作ってもらいたい場合は行政書士へ
行政書士には、父母がすでに合意した養育費の協議書や、公正証書へするための原案など、権利義務に関する書類の作成を依頼できます。
ただし、意見が対立している相手との解決交渉や和解交渉を、行政書士が代理できるわけではありません。条件がまだ決まっておらず、相手との交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。
二人で同じ日に公証役場へ行けない場合はどうする?
父母の一方または双方が出向けない場合は、代理人を立てて作成できることがあります。代理人を使う場合は、公正証書へ入れる内容を特定した委任状、本人の印鑑登録証明書、代理人の本人確認資料などが必要です。内容が未記入の白紙委任状は使えず、一人の代理人が父母双方を代理することも原則としてできません。
2025年10月以後は、ウェブ会議で本人確認、内容の承認、電子サインまで行うリモート方式も始まっています。ただし、父母からの申出、相手に異議がないこと、公証人がリモートでの作成を適切と判断することが必要です。
リモート方式では、パソコン、カメラ、マイク、電子サインに使うタッチペンなどが必要で、スマートフォンやタブレットだけでは利用できません。リモート方式を希望する場合は、申し込み時に参加者を申し出て、利用できる本人確認資料と必要な機器について公証役場の案内を受けてください。
養育費の公正証書に入れる14の項目
養育費の公正証書には、毎月の金額だけでなく、支払日、支払期間、振込先、進学や医療にかかる費用、未払いになったときの扱いなども記載します。次の14項目を順に読み、自分たちの取り決めに必要な内容を具体的に決めてください。
1. 支払う人、受け取る人、対象となる子ども
父母の氏名、生年月日、住所を本人確認資料どおりに書き、誰が支払う人で、誰が受け取る人かを明らかにします。子どもは一人ずつ氏名と生年月日を書きます。
子どもが二人以上いる場合は、「子ども二人分として月8万円」とだけ書くより、一人ごとの月額と終了時期を書いた方が、上の子の支払いが終わった後に残る金額が明確です。
2. 子ども一人ごとの月額
「子どもAについて月額5万円」のように金額を数字で書きます。年齢や進学段階に応じて月額を変える場合は、切り替わる日と変更後の金額も書いてください。
「裁判所の算定表どおり」「父母の収入に応じた相当額」という書き方だけでは、毎月いくら支払うのか決まりません。算定表を参考に話し合った場合でも、合意した月額そのものを公正証書へ記載します。
3. 支払いを始める月と終わる日
開始は「2026年10月分から」のように対象月を書き、初回の支払日も結び付けます。終了は、具体的な年月日や「子どもが22歳になった後、最初に迎える3月31日まで」など、客観的に到来する日を書きます。
「大学卒業まで」だけでは、大学へ進学しない場合、留年・休学・編入・大学院進学の場合が分かりません。「成年になるまで」という表現も、成年年齢が18歳へ変わった現在は避けた方が安全です。
4. 毎月の支払日と休日の扱い
「毎月25日までに翌月分を支払う」のように、何月分をいつ支払うのかを書きます。支払日が金融機関の休業日に当たる場合は、前営業日と翌営業日のどちらにするかも決めてください。
「給料日後」「月末頃」という表現では、いつから未払いになるのか分かりません。毎月の期限を日付で書くことが大切です。
5. 振込先と振込手数料
銀行名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義を書き、振込手数料をどちらが負担するかも決めます。振込先を変更するときの通知方法と期限も入れておくと、口座変更による支払遅れを防ぎやすくなります。
6. 入学金、授業料、医療費などの特別費用
月額とは別に負担する費用がある場合は、入学金、授業料、受験料、通学費、一定額以上の医療費、歯科矯正など、対象を具体的に書きます。
あわせて、事前の相談や同意が必要か、緊急の医療費は例外にするか、領収書をいつまでに送るか、父母の負担割合、相手が支払う期限、補助金や保険金を差し引くかを決めてください。
「特別費用は別途協議する」だけでは、その時点で支払う金額が決まりません。将来の柔軟性は残せますが、話し合いがまとまらなければ、改めて合意するか、家庭裁判所の手続を利用することになります。
7. 進学、休学、留年、退学があった場合
進学後も毎月の養育費を続けるのか、入学金や授業料を特別費用として負担するのかを区別します。大学、短大、専門学校、大学院のどこまで含めるか、休学・留年・退学・編入があった場合、在学資料をいつ示すかも書いておくと、終了時期の争いを避けやすくなります。
8. 収入や家族関係が変わったときの見直し
長期の失職、大幅な収入変動、再婚や扶養家族の増減、子どもの進学・重大な医療費などが生じたときに、どの資料を示して話し合うか、連絡方法と話し合う期限を書けます。
ただし、「収入が減ったら自動的に半額」といった条項は、減少の程度や開始時期が不明確です。事情が変わったときは父母で改めて合意し、まとまらない場合は家庭裁判所の調停などで扱える形にしておく方が安全です。
9. 作成前にすでに未払いがある場合
離婚前の生活費や過去の養育費に未払いがある場合は、対象期間、支払うべき総額、支払済みの金額、残額、支払期限、一括か分割かを具体的に書きます。
将来の毎月分と過去の未払い分を一つの金額に混ぜると、どの支払いが遅れているのか分かりにくくなります。将来分と未払い分は、条項を区別してください。
10. 住所、連絡先、勤務先が変わった場合
住所、電話番号、メールアドレス、勤務先などが変わったときの通知先、通知方法、通知期限を書けます。未払い時の連絡や給与差押えを考える場面では、勤務先情報が役立つことがあります。
DVやストーカーなど安全上の不安がある場合は、住所を相手へ直接知らせる条項を安易に入れないでください。弁護士を連絡先にするなど、安全を優先した方法を考える必要があります。
11. 遅延損害金と期限の利益を失う条件
遅延損害金を入れる場合は、どの未払い元本に対し、何%の利率で、支払日の翌日からいつまで計算するかを書きます。
分割払いの一部を滞納したときに将来分まで一括請求できる「期限の利益喪失条項」は、支払う側への影響が大きい条項です。不払いの回数、催告の要否、催告期間、対象となる残額を具体的にし、機械的に入れず、公証人または弁護士へ必要性を尋ねてください。
12. 面会交流と養育費は別の条項にする
面会交流を同じ公正証書へ入れる場合でも、「面会できない月は養育費を支払わない」という条件にはしないでください。養育費と面会交流は別の問題です。
面会交流については、頻度、日時、場所、子どもの受け渡し、連絡方法、安全上の配慮を別の条項に書きます。面会交流そのものを、金銭債務と同じ強制執行認諾文言で実現できるわけではありません。
13. 清算条項で将来の養育費まで放棄しない
財産分与や慰謝料などについて「このほかに一切請求しない」という清算条項を入れる場合は、将来の養育費、事情変更による増額・減額、留保した特別費用まで含むのかが問題になります。
広すぎる清算条項をそのまま使わず、子どもの将来の養育費や、明記した特別費用を対象外にするかを公証人や弁護士と考えてください。
14. 強制執行認諾文言
未払い時に公正証書を使って強制執行を申し立てるには、一定額の金銭支払を定めたうえで、支払う側が直ちに強制執行を受けてもよいと認める文言を入れます。
この文言が入った公正証書があれば、養育費が支払われないときに、改めて裁判で判決を得なくても差押えを申し立てられます。
実際に差押えを申し立てる前には、原則として、公正証書を作成した公証人から執行文の付与を受け、公証人から支払う側へ公正証書の謄本などを送達してもらいます。あわせて、送達証明書も取得します。必要な書類と申請方法は、公正証書を受け取るときに公証人へ尋ねてください。
これは意味を理解するための例です。「差押えを認める」「法的手続に協力する」という文章へ置き換えず、実際の公正証書では、公証人が各金銭条項に合う正式な文案を作ります。
養育費の公正証書に連帯保証人を入れられる?
養育費を支払う親の債務について、第三者が自分の意思で連帯保証を引き受ける契約を作ることはできます。ただし、親、兄弟姉妹、再婚相手などの名前を本人の承諾なく書いても、連帯保証人にはなりません。
保証契約には、保証人本人の同意と、書面または電磁的記録が必要です。連帯保証人になると、支払う親へ先に請求するよう求めることができず、受け取る側から直接請求を受ける重い責任を負います。
保証人にも公正証書による強制執行の効力を及ぼすには、保証人を公正証書の当事者として記載し、保証する養育費の範囲を具体的にしたうえで、保証人自身についても強制執行認諾文言を入れる必要があります。 支払う親だけの認諾文言では、保証人への強制執行の根拠にはなりません。
保証人が個人であり、将来の増額、進学費、医療費などを含む一定範囲の不特定な債務を保証する場合は、個人根保証に当たる可能性があります。個人根保証に当たる場合は、元本、利息、違約金、損害賠償などを含む保証人の全責任について、極度額を「300万円」のような明確な金額で定めなければ保証契約は効力を生じません。
月額と終期が決まった養育費が個人根保証に当たるかは、養育費に特化した統一的な公的見解が示されていません。父母だけで後から増額や期間延長を決めても、保証人の責任が自動的に広がるわけでもありません。連帯保証人を入れる場合、公証人は、保証人の氏名、保証する養育費の範囲、極度額、保証人本人が出向くか代理人を立てるかを確かめます。保証人にも強制執行認諾文言を入れる場合は、保証人本人の意思確認も必要です。
相手が公正証書の作成に応じない場合
公正証書は、父母が養育費の内容に合意し、作成に協力することを前提とします。一方だけで、相手に支払義務を負わせる公正証書を作ることはできません。
月額や支払期間について意見が合わない場合、相手が公証役場とのやり取りや作成日の手続に応じない場合は、家庭裁判所の養育費請求調停を利用する方法があります。調停で合意すれば、内容は調停調書に記載されます。調停で合意できないときは審判へ移り、裁判官が養育費を判断します。
作成日前に、金額・支払日・支払期間をもう一度確かめてください
公証人から最終の文章が示されたら、子どもの氏名と生年月日、月額、支払日、開始月、終了日、特別費用、未払い時の強制執行認諾文言を一つずつ確かめてください。合意した内容と違う部分があれば、どこが違うかを公証人へ伝え、作成日までに直してもらってください。意味が分からない部分はそのままにせず、説明を受けてから作成に進んでください。
公証人は、どちらか一方の立場で、養育費の金額や条件が有利か不利かを助言する役割ではありません。月額や支払期間に迷っている場合、相手との対立がある場合、未払い分や連帯保証人まで入れたい場合は、公正証書を作る前に弁護士へ相談できます。
弁護士法人ワンピース法律事務所では、養育費の公正証書に入れる内容や、合意前の交渉について無料相談を受け付けています。月額や終期で迷っている方、相手との話し合いが進まない方は、手元の合意案ややり取りをもとにご相談ください。