当事務所には、子ども本人から「父が養育費を払っていません。母に代わって、自分から直接請求できますか」という相談が寄せられることがあります。
成人した後に、「子どものころに支払われなかった分を、今から自分で請求したい」と相談されることもあります。
結論からお伝えすると、子ども本人から請求できる場合はあります。 ただし、母親に支払われるはずだった過去の未払い養育費を代わりに回収したいのか、子ども本人が現在必要としている生活費を求めたいのかによって、請求できる人も内容も変わります。
母親を受取人として決めた過去の未払い養育費は、通常、母親から請求します。成人した子どもが、その未払い分を当然に自分の名義で請求できるわけではありません。一方、子ども本人が現在も生活費や学費を必要としている場合は、子ども自身の扶養料として親へ直接請求できる可能性があります。
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子ども本人から直接請求できるのは、どのような場合ですか?
子ども本人から親へ請求できるのは、子ども自身が現在必要としている生活費や学費を、扶養料として求める場合です。
成人していても、大学や専門学校へ通っていて自分の収入だけでは生活できない場合や、病気などの事情で自立が難しい場合は、親へ扶養料を請求できる可能性があります。請求できる金額や期間は、子どもの生活状況、父母の収入、進学の経緯、これまでの援助などを確認して判断します。
すでに就職し、自分の収入で生活できている場合は、今後の生活費を子ども本人の扶養料として請求することは一般に難しくなります。
つまり、成人しているかどうかだけでなく、今も親からの経済的な援助を必要としているかが重要です。
母親に代わって、過去の未払い養育費を請求できますか?
ここは、子ども本人から最も多く尋ねられる点です。
たとえば、離婚時に「父親が母親へ毎月5万円を支払う」と決めていたのに、何年も支払われていないとします。この未払い分は、通常、その取り決めに基づいて母親から父親へ請求するお金です。
子どもが成人しても、母親が持っている未払い養育費の請求権が、自動的に子どもへ移るわけではありません。そのため、母親に代わって、子どもが当然に過去の未払い分を自分の名義で請求できるわけではありません。
一方で、成人した子どもが現在も生活費や学費を必要としている場合は、母親の未払い養育費とは分けて、子ども本人の扶養料を請求できる可能性があります。
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成人してから、子どものころの未払い分を請求できますか?
成人した後に過去分を請求したい場合は、次の3つを分けて考えます。
母親を受取人とする取り決めがある場合
公正証書、調停調書、離婚協議書などに「父親から母親へ支払う」と記載されている場合、未払い分は通常、母親がその取り決めに基づいて請求します。成人した子どもが母親に代わって請求するものではありません。
過去に養育費の取り決めも請求もなかった場合
成人した子どもから親へ、自分自身の扶養料を請求することはできます。ただし、「子どものころに支払われなかった金額」を出生時までさかのぼり、全額まとめて請求できるとは限りません。
過去分が認められるかは、いつ支払いを求めたのか、誰が実際に生活費を負担したのか、その当時に扶養を必要としていたか、親にどの程度の負担能力があったかなどによって変わります。
成人後も生活費や学費が必要な場合
大学在学中などで経済的に自立していなければ、過去の未払い分とは別に、現在またはこれから必要となる扶養料を子ども本人から請求できる可能性があります。
「成人したから請求できる」「成人したからもう請求できない」と年齢だけで決めるのではなく、誰が、どの期間の、どの費用を求めるのかを確認する必要があります。
まだ成人していない子どもから相談を受けた場合
子ども本人から「自分で父親へ請求したい」「母親は請求してくれない」と相談を受けることもあります。
まだ成人していない場合でも、相談の内容を伺うことはできます。ただし、請求の合意や法的手続を子ども一人で進めるのではなく、通常は親権者などの法定代理人が子どもを代理します。
親権者に相談できない事情がある場合や、親権者と子どもの希望が一致しない場合は、誰が手続に関わるべきかを個別に確認します。子ども本人から相談があったからといって、すぐに一人だけで相手へ請求させるわけではありません。
母親が「養育費はいらない」と決めていても、子どもから請求できますか?
父母が離婚時に「養育費は請求しない」と合意していても、その合意だけで、子ども本人からの扶養料請求まで当然にできなくなるわけではありません。
子どもが現在も親からの援助を必要としている場合は、父母の合意とは別に、子ども本人から扶養料を請求できる可能性があります。
ただし、過去の生活費がすべて自動的に認められるわけではありません。現在必要な金額、請求を始めた時期、父母の収入や負担能力、これまで支払われた金額などを確認します。
子ども本人から請求できるか確認するために必要なこと
ご相談では、次の内容を順番に確認します。
- 子ども本人が請求したいのか、母親の代わりに請求したいのか
- 求めたいのは過去の未払い分か、現在・これからの生活費か
- 養育費の取り決めがあるか。受取人は誰になっているか
- 現在、在学中か、就職しているか。自分の収入で生活できているか
- 父親との間に法律上の親子関係があるか
父親が認知しておらず、法律上の父子関係がない場合は、養育費や扶養料の請求より先に父子関係を明らかにする必要があります。
子ども本人から直接請求できるかは、請求したいお金の内容で決まります
子ども本人から親へ直接請求できる場合はあります。ただし、母親に支払われるはずだった過去の未払い養育費を、そのまま子どもが代わって請求できるわけではありません。
子ども本人が現在必要としている生活費や学費を求める場合は、子ども自身の扶養料として請求できる可能性があります。成人後に過去分を請求したい場合も、母親名義の未払い分なのか、子ども自身の扶養料なのかによって結論が変わります。
「自分から父親へ請求できるのか」「母親に代わって過去の分を請求できるのか」を確認したいときは、これまでの取り決め、未払いの期間、現在の生活状況を分けてお聞かせください。