結論からいうと、認知がないまま父親へ養育費を法的に請求することは、原則としてできません。養育費を支払う義務は法律上の親子関係に基づくため、まず父子関係を法律上確定させる必要があります。
ただし、認知がないことだけで養育費を諦める必要はありません。相手が父親であることを認めている場合と、認めていない場合とでは、養育費を求められる状態になるまでの進み方が異なります。
認知がない状態で、養育費だけを先に請求できるのでしょうか?
相手が父親であることを認めていなくても、生活費の支払いを話し合うこと自体はできます。相手が任意に支払うのであれば、認知前にお金を受け取ることも可能です。
一方、相手が支払わないときに家庭裁判所へ養育費だけを申し立てたり、未払い分を法的な手続で回収したりするには、父子関係が法律上確定していなければなりません。
認知前に生活費を受け取った場合は、受け取った月、金額、何のための支払いだったかが分かるように、通帳や相手とのやり取りを残しておくことが大切です。後から過去分を話し合う際に、すでに支払われた金額を確認しやすくなります。
相手が父親であることを認めている場合
相手が父親であることを認めている場合は、父子関係を法律上確定させた後、養育費の条件について話し合うことができます。
このとき、認知することと養育費の条件に合意することは別です。相手が父親であることを認めていても、養育費の月額や支払開始月について意見が合わなければ、その点は改めて話し合う必要があります。
相手が父親であることを認めない場合
相手が父親であることを否定していても、養育費を諦めなければならないわけではありません。ただし、養育費だけを先に定めることはできないため、家庭裁判所を通じて父子関係を法律上確定させ、その後に養育費を求めることになります。
ここで重要なのは、相手が「自分は父親ではない」と言っていることだけで、養育費を請求する道が閉ざされるわけではないという点です。反対に、交際していた事実や相手の口頭での発言だけでは、法律上の父子関係が確定したことにはなりません。
認知されると、養育費の金額も自動的に決まるのでしょうか?
認知によって法律上の父子関係が生じても、毎月の養育費が自動的に決まるわけではありません。認知後に、父母双方の収入、子どもの人数と年齢などを踏まえて、月額を定めます。
金額だけでなく、いつの分から支払うのか、毎月何日までに支払うのか、いつまで支払いを続けるのかも明確にしておく必要があります。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の養育費請求調停でこれらの条件を求めることができます。
養育費は、いつから請求できるのでしょうか?
養育費の支払開始時期は、認知が成立した日と必ず同じになるわけではありません。父母の話し合いで合意できる場合は、その合意した月から支払いを受けられます。話し合いがまとまらず家庭裁判所へ求める場合は、いつ養育費を求めたのかが重要になります。
たとえば、認知について話し合っている間に、相手へ養育費を求めるメッセージを送っていた場合、その日付と内容は「いつから支払いを求めていたか」を示す資料になります。ただし、メッセージを送った月からの養育費が必ず全額認められるとは限りません。
養育費を求めた日付と相手の返答は、消さずに残しておいてください。口頭で伝えた場合も、後からメッセージで内容を確認しておくと、請求を始めた時期が分かりやすくなります。
出生時からの養育費を、すべて請求できるのでしょうか?
認知の効力は出生時に遡ります。これは、法律上の父子関係が出生時からあったものとして扱われるという意味です。
しかし、出生時から現在までの養育費が、自動的にすべて未払いになるわけではありません。過去分をどこまで求められるかは、養育費を求めた時期、これまでに相手が負担した生活費、認知までの経緯、子どもの生活状況などを踏まえて、父母の合意または家庭裁判所で個別に扱われます。
たとえば、出生から2年後に認知が成立しても、現在の月額に24か月を掛けた金額がそのまま過去分として確定するわけではありません。一方、認知前から継続して養育費を求めていた事情などによっては、過去分が認められる場合もあります。
認知なしの養育費請求で押さえておきたいこと
認知がない状態では、相手が任意に生活費を支払うことはできても、法律上の父親として養育費を求めるには、先に父子関係を確定させる必要があります。
相手が父親であることを認めない場合も、それだけで養育費を諦める必要はありません。父子関係が確定した後に、月額、支払開始時期、支払日、支払期間を別に定めることになります。
特に、出生時からの過去分は自動的に全額確定しません。認知の有無、相手の返答、養育費を求めた時期、これまで受け取った金額を整理しておくと、現在の状況に合った請求内容を確認しやすくなります。