元夫から「収入が減ったので、来月から養育費を減らしたい」と連絡が来た。
急な連絡を受けると、いつまでに返事をすればよいのか、来月から振込額が減るのかと迷うことがあります。
相手が減額を求めただけでは、現在の取り決めは自動的に変わりません。その場で同意せず、減額を求める理由、希望額、開始時期、根拠となる資料を見てから返答して構いません。
一方で、取り決め後に事情が変わった場合、相手が減額を求めること自体はできます。一律に拒否すればよいわけでもないため、取り決め当時と現在の状況を比べて考えます。
減額へ応じる前に整理する現在の取り決め
公正証書、調停調書、審判書、離婚協議書など、養育費を決めた書面を手元に用意します。書面の名称だけでなく、現在の月額、支払日、支払期間、進学費用などの別途負担、事情が変わった場合の記載を見ます。
実際の入金額も通帳や振込履歴で見てください。すでに振込額が減っている場合は、対象月、取り決めた金額、入金額、差額を月ごとに分けておくと、何が起きているのかを説明しやすくなります。
減額の理由・希望額・開始時期を文章で受け取ります
「収入が減ったので減額したい」という説明だけでは、どの程度の変化なのかが分かりません。次の内容をLINEやメールなど、後から読み返せる形で受け取ります。
- 減額を求める理由と、事情が変わった時期
- 現在の月額をいくらへ変えたいのか
- いつから、いつまで変更したいのか
- 現在の収入や扶養関係が分かる資料
電話で話した場合も、話した日と相手の説明をメモに残し、認識が合っているかを文章で送り直す方法があります。
収入減の幅・理由・継続性が判断材料になります
相手の収入が下がった場合は、下がったという事実だけでなく、取り決め当時と現在の差、その理由、今後も続く見込みが判断材料になります。
| 相手が伝えてきた事情 |
見る資料と内容 |
| 給与が下がった |
直近の給与明細、源泉徴収票、課税証明書などから、減少額と継続性を見る |
| 退職・休職した |
退職日・休職期間、現在の収入、給付の有無、今後の就労見込みを分けて見る |
| 自営業の売上が減った |
確定申告書、売上・経費の資料などから、所得がどのように変わったかを見る |
収入が下がっていても、相手が希望する金額まで当然に減額されるわけではありません。受け取る側の収入、子どもの人数・年齢・現在の費用、各世帯の扶養関係なども合わせて検討されます。
再婚や住宅ローンだけで自動的に減額されるわけではありません
相手が再婚したという事実だけで、養育費が自動的に減るわけではありません。再婚後に子どもが生まれたか、再婚相手の子と養子縁組をしたか、現在の収入や扶養関係がどう変わったかを分けて見ます。
住宅ローンや他の借入れがあるという説明も、それだけで養育費を一方的に下げる理由にはなりません。誰が家に住んでいるか、住宅費を誰が負担しているか、双方の収入、子どもの生活状況などを分けて考えます。
相手の資料と一緒に自分の収入・子どもの費用を整理します
減額の判断では、相手側の事情だけを見るのではありません。受け取る側の収入と、子どもに現在どのくらいの費用がかかっているかも大切です。
| 整理するもの |
分かること |
| 現在の取り決め書面 |
月額、支払日、支払期間、特別費用の定め |
| 支払いの記録 |
取り決めどおりの入金か、減額・未払いが始まった月 |
| 相手から届いた連絡と資料 |
減額理由、希望額、開始時期、収入・扶養関係の変化 |
| 自分の収入資料 |
現在の収入と取り決め当時からの変化 |
| 子どもにかかる費用 |
学費、保育料、医療費、通学費などの現在の負担 |
相手の資料が届く前でも、自分の収入資料と子どもの費用を先に揃えておくと、相手の希望額が現在の生活状況に合うかを考えやすくなります。
すぐ同意できないときは理由と資料を求めて返答します
減額理由の説明だけで資料がない、希望額や開始時期が書かれていない、子どもの費用が考慮されていない場合は、その場で金額の変更に同意する必要はありません。
相手を責める言葉は避け、判断に必要な内容を短く伝えます。
この返答は、将来にわたって減額を拒否するという意味ではありません。資料を見た後に、現在の金額を維持するのか、一定期間だけ変更するのか、別の金額で合意するのかを考えます。
減額に合意する場合は金額と期間を書面に残します
事情と資料を見て減額に合意する場合は、新しい月額だけでなく、開始月、支払日、支払期間も文章で残します。
収入減が一時的な場合は、減額する期間と、元の金額へ戻す時期または収入資料を見直す時期も決めておく方法があります。すでに少ない金額しか振り込まれていない月があるときは、その差額をどう扱うかも分けて書きます。
以前の取り決めが公正証書、調停調書、審判書などの場合は、変更後の書面が将来の請求や強制執行へどのように影響するかも考える必要があります。署名する前に、以前の書面と新しい文案を一緒に見てください。
一方的に振込額を下げられたら差額を月ごとに分けます
合意していないのに振込額が減っても、それだけで以前の取り決めが変更されたことにはなりません。
取り決めた月額、実際の入金額、差額を月ごとに分け、相手から届いた連絡も残します。差額をどのように求めるかは、公正証書、調停調書、離婚協議書など手元の書面によって異なるため、書面全体を見て対応を選びます。
家庭裁判所から書面が届いた後の対応
相手との話し合いがまとまらない場合、相手は家庭裁判所へ養育費の減額を求める調停・審判を申し立てることができます。
裁判所から申立書や呼出状が届いたら、期日、書類の提出期限、相手が主張する事情、希望額、開始時期を見ます。自分の収入資料、子どもの費用、現在の取り決め、これまでの入金記録を揃え、相手の主張と異なる点を分けて伝えます。
調停では双方の事情と資料をもとに合意を目指します。合意できず調停が不成立になった場合は審判が始まり、裁判官が一切の事情を考慮して判断します。調停で同意しなければ現在額のままになるとも、減額になるとも決まっていません。
減額要求には取り決めと資料を見てから回答します
元夫から養育費の減額を求められても、連絡を受けた時点で現在の取り決めが変わるわけではありません。
現在の取り決め、減額理由と資料、希望額と開始時期、父母双方の収入、子どもの現在の費用を分けて整理し、その場で同意せずに回答してください。相手が示した事情に変化がある場合は、資料をもとに新しい金額や期間を話し合うことができます。
ご相談の際は、相手から届いた減額要求、現在の取り決め書面、入金履歴、自分の収入資料、子どもにかかる費用を分かる範囲でお送りください。すぐに返答してよい内容か、追加で求める資料があるか、家庭裁判所の手続へどう対応するかを整理します。