児童扶養手当の申請や現況届で「養育費はもらっていない」と書いた後、本当に0円と申告してよかったのか、不安になることがあります。
最初に分けておきたいのは、書面で取り決めた養育費と、対象となる年に実際に受け取った養育費です。
取り決めがあっても、その年に一度も支払われていなければ、受取額は0円です。一方、振込や現金、子ども名義口座への入金、相手による学費等の直接払いがあった場合は、申告対象になるかを確認する必要があります。
実際の受取額が0円なら直ちに虚偽申告とは限りません
児童扶養手当の養育費申告書は、指定された年に養育費を受け取ったか、いくら受け取ったかを確認する書類です。
養育費の合意書に月額が書かれていても、申告対象年に入金がなければ、取り決め額と実際の受取額は一致しません。受取額が0円であることと、養育費の取り決めがないことも別です。
ただし、窓口で「取り決めはありますか」と聞かれたのに「ありません」と答えた場合や、対象年に受け取った金額があるのに0円と書いた場合は、申告内容を確認してください。
申告書には指定年に受け取った金額を記載します
申告する年は、認定請求をする時期や現況届によって異なります。書類に印字された対象年を見て、その年の1月から12月までに実際に受け取った金額を月ごとに整理してください。
| 状況 |
申告内容を整理する基準 |
| 取り決めはあるが対象年の入金はない |
実際の受取額は0円。取り決めの有無を尋ねる欄・質問とは分ける |
| 一部の月だけ支払われた |
実際に受け取った月と金額を合計する |
| 子ども名義の口座へ入金された |
子どもが受け取った養育費として整理する |
| 相手が家賃・学費等を直接支払った |
金品その他の経済的利益に当たるか自治体窓口へ確認する |
| 過去の未払い分をまとめて受け取った |
実際に受け取った年の金額として扱うか自治体窓口へ確認する |
手渡しや第三者を通じた支払いも、銀行振込でないという理由だけで除外せず、受け取った日と金額を確認してください。
取り決め額と受取額は別の資料で確認できます
申告内容に迷ったときは、書面上の月額と実際の入金を一つにせず、資料を分けてください。
| 確認する内容 |
主な資料 |
| 取り決めた月額・支払日 |
合意書、離婚協議書、公正証書、調停調書、審判書 |
| 実際に振り込まれた金額 |
通帳、ネットバンキングの明細、振込通知 |
| 現金で受け取った金額 |
領収書、受取メモ、相手とのLINE・メール |
| 直接支払われた費用 |
学費・家賃等の領収書、請求書、支払記録 |
| 未払いの月と差額 |
支払期日、取り決め額、入金額を月ごとに並べたメモ |
通帳だけでは支払者や支払いの目的が分かりにくい場合があります。相手とのメッセージや取り決めの書面も合わせておくと、窓口で説明しやすくなります。
受け取った金額があるのに0円と書いた場合は窓口へ連絡します
対象年に養育費を受け取っていたのに0円と記載したことへ気づいたら、お住まいの自治体の児童扶養手当担当窓口へ早めに連絡してください。
申告書を自分で書き換えて送り直すのではなく、どの書類を、どの方法で訂正するのかを確認します。自治体によって、訂正届、申告書の再提出、通帳等の追加資料など、案内される内容が異なることがあります。
連絡前に対象年と受取記録を整理してください
窓口へ連絡する前に、少なくとも次の内容を手元で確認しておくと、状況を伝えやすくなります。
| 確認すること |
整理する内容 |
| 提出した書類 |
認定請求時の申告書か、現況届時の申告書か |
| 申告対象年 |
書類で指定された年 |
| 記載した金額 |
0円または申告済みの合計額 |
| 実際の受取額 |
月ごとの受取日、金額、受取方法 |
| 差額が生じた理由 |
記載漏れ、対象年の取り違え、直接払いの見落とし等 |
| 手元の資料 |
通帳、領収書、LINE、合意書等 |
分からない項目は、推測で埋めずに「分からないため確認したい」と伝えてください。
自治体へは確認したい内容をそのまま伝えられます
電話や窓口では、申告が正しいか確認したいことと、分かっている受取額を分けて伝えます。
相手が直接支払った学費等が養育費に含まれるか判断できない場合も、その支払いの時期、金額、目的が分かる資料を示して確認してください。
訂正後の支給額や返還の有無は再計算で決まります
申告内容を訂正しても、児童扶養手当が直ちに全額停止になるとは限りません。養育費の受取額の8割を所得へ加え、本人の所得、扶養親族等の数、控除、同居する扶養義務者等の所得を含めて支給区分が改めて計算されます。
再計算の結果、支給額が変わらない場合もあれば、一部支給へ変わる場合、支給対象外となる場合もあります。すでに受け取った手当に過払いがあると判断されたときは、返還または今後の支払いとの調整について案内を受けることがあります。
返す金額や方法を自分で判断せず、自治体から示される対象期間、再計算結果、納付方法を確認してください。
記載誤りと不正な手段による受給は同じとは限りません
児童扶養手当法は、虚偽の申請・届出がある場合に手当の全部または一部を支給しないことができると定めています。また、正当な理由なく必要な届出や書類提出をしない場合には、支払いが一時的に差し止められることがあります。
さらに、偽りその他不正の手段で手当を受けた場合には、受給額相当の全部または一部の徴収や、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。
これらは、単純な書き間違いや申告対象の理解違いがあれば直ちに同じ扱いになる、という意味ではありません。何を尋ねられ、何を記載し、実際にいくら受け取ったのかによって確認内容は異なります。
処分や返還額を予測せず、誤りに気づいた段階で自治体窓口へ事実を伝え、必要な対応を確認してください。
必要に応じて追加資料の確認があります
自治体は、受給資格や手当額の決定に必要な場合、養育費に関する書類の提出を求め、受給者や関係者へ質問できます。必要な範囲で、官公署、金融機関、雇用主その他の関係者へ資料や報告を求める制度もあります。
特定の方法で当然に判明する、または何も確認されないとはいえません。求められた資料の目的や対象期間が分からないときは、窓口へ確認したうえで提出してください。
実際に未払いなら申告の確認と未払い請求を分けます
申告対象年に本当に養育費を受け取っていない場合は、受取額0円の申告と、元配偶者に対する未払い養育費の請求を分けて考えます。
児童扶養手当を受けていることによって、別居する親の養育費を支払う責任がなくなるわけではありません。未払い分への対応は、合意書、公正証書、調停調書等の有無と、入金が止まった時期により異なります。
申告の確認は自治体へ未払い請求は別に相談できます
児童扶養手当の申告内容、訂正方法、支給額の再計算、返還の有無は、自治体の児童扶養手当担当窓口が確認します。
一方、取り決めた養育費が実際に支払われていない場合は、書面と入金記録を整理したうえで、未払い分をどのように請求するかを検討できます。
申告の確認と未払い請求を一度に解決しようとせず、それぞれの窓口で必要な手続きを進めてください。