児童扶養手当を受けている中で、養育費も受け取っていたのに、申請や現況届で「養育費は0円」「もらっていない」と申告してしまった。この場合、手当がすぐに打ち切られるのか、返還や罰則があるのか、不安になると思います。
実際に受け取った養育費より少なく申告していた場合、自治体が正しい金額で児童扶養手当を計算し直し、本来より多く受け取った分は返還することになります。 ただし、単なる記載ミスと、事実と異なる申告をして手当を受け続ける行為は、同じ扱いではありません。
誤りに気づいたときは、通帳や受取記録を手元に置き、お住まいの自治体の児童扶養手当担当窓口へ早めに連絡してください。
実際の受取額が0円なら、0円申告は誤りではありません
児童扶養手当の申告で対象になるのは、書面に書かれた養育費の月額ではなく、指定された年に実際に受け取った金額です。
公正証書や離婚協議書で月5万円と決めていても、その年に一度も支払われていなければ、養育費の受取額は0円です。一方、毎月の振込みの一部だけでも受け取っていれば、受け取った分を申告します。
申告対象は、受給者本人の口座へ振り込まれたお金だけではありません。
申告対象になり得る4つの受け取り方- 本人名義の口座
元配偶者などから養育費として振り込まれた金額
- 子ども名義の口座
対象となる子どもの口座へ振り込まれた養育費
- 現金・電子マネーなど
口座を介さず、養育費として受け取った金品
- 学費・家賃などの直接払い
相手が生活費等を代わりに支払った経済的利益
取り決めはあるのに実際の支払いが0円だった人と、支払いを受けたのに0円と申告した人では、その後の対応が違います。
養育費を受け取っていたのに0円と申告すると、手当が計算し直されます
児童扶養手当では、対象年に受け取った養育費の80%相当額を、受給者の所得に加えて支給額を計算します。
例えば、1年間に60万円の養育費を受け取った場合、48万円が所得へ加算されます。受け取った養育費の80%が、そのまま児童扶養手当から差し引かれるわけではありません。 本人の所得、扶養する子どもの人数、各種控除、同居する扶養義務者の所得などを合わせて支給額が決まります。
そのため、申告を訂正した後も支給額が変わらないことがあります。一部支給へ変わることも、所得制限を超えて支給対象外になることもあります。
申告内容を訂正した後に起こること
訂正後は、自治体が対象年の所得と児童扶養手当を計算し直します。その結果は、主に次の3つです。
訂正後に考えられる3つの結果- 支給額が変わらない
養育費の8割を加えても所得制限内なら、手当額が変わらない場合があります。
- 一部支給または支給停止になる
再計算後の所得によって、手当が減る、または支給対象外になる場合があります。
- 過払い分を返還する
本来より多く受け取った差額があれば、自治体から返還額と方法が示されます。
返還になるのは、養育費として受け取った金額そのものではありません。正しい申告額で計算した児童扶養手当と、すでに支給された手当との差額です。
返還額や対象期間は自治体が計算します。自己判断で金額を振り込まず、自治体から届く決定内容と納付方法に従ってください。一括での支払いが難しいときは、納期限が来る前に担当窓口へ事情を伝えてください。
誤りに気づいたら、4つの順番で訂正します
申告書を自分で書き直して送るのではなく、最初に児童扶養手当の担当窓口へ連絡します。自治体によって、再提出する申告書や添付資料の名称が違うためです。
申告を訂正する4つの手順- 対象年と受取額を書き出す
通帳、現金の受領記録、領収書から日付・金額・受取方法をまとめます。
- 自治体へ早めに連絡する
児童扶養手当の担当窓口へ、養育費を0円と申告したが実際には受け取っていたと伝えます。
- 案内された書類を提出する
申告書の訂正書類と、通帳等の資料を自治体の案内に沿って提出します。
- 再計算の結果に対応する
支給額の変更や返還があるときは、金額、対象期間、支払方法を読みます。
自治体へは「養育費の申告を訂正したい」と先に話します
電話でも窓口でも、最初は「児童扶養手当の養育費申告を訂正したい」と伝えれば十分です。続けて、0円と記載した対象年、実際に受け取った日と金額、振込み・現金・直接払いのどれで受け取ったかを話します。
訂正書類の名称や提出方法は自治体ごとに違うため、「何を持参すればよいか」「郵送でも提出できるか」をその場で聞きます。
自治体へ持っていく資料

資料を持っていく目的は、受け取った養育費の金額と、訂正する申告を自治体が特定できるようにすることです。次の3つが分かる資料を、手元にある範囲で持参します。
- いつ、いくら受け取ったか:通帳、ネットバンキング明細、現金の受取メモ、学費・家賃等の領収書
- 養育費として支払われたものか:養育費を決めた書面、振込名義が分かる明細、LINEやメール
- どの年の申告を直すのか:提出した養育費申告書や現況届の控え、自治体から届いた通知
すべてそろっていなくても、分かっている受取日と金額から窓口へ伝えられます。ない資料を推測で作らず、担当者から追加資料を案内されたときに提出してください。
記載ミスだけで直ちに罰則が科されるわけではありません
児童扶養手当法には、虚偽の申請や届出があったときに、手当の全部または一部を支給しない措置があります。必要な届出や資料提出に正当な理由なく応じないと、手当の支払いが一時的に止まることもあります。
さらに、偽りその他不正の手段で手当を受けた場合には、受け取った手当の全部または一部の徴収に加え、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。
申告対象年を間違えた、直接払いが申告対象だと知らなかったという事情だけで、直ちに刑事罰が科されるわけではありません。 何を記載し、実際にいくら受け取り、誤りに気づいた後にどう対応したのかが見られます。
事実と違うと気づきながら放置せず、早い段階で訂正へ進むことが大切です。
自治体は必要な資料を求めることができます
自治体は、受給資格や手当額を決めるため、養育費に関する書類の提出を受給者へ求め、事情を尋ねることができます。必要な範囲で、官公署、金融機関、雇用主などへ資料や報告を求める制度もあります。
「銀行振込ではないから申告しなくてよい」「子どもの口座なら分からない」と考えず、養育費として受け取ったものを正確に伝えてください。
本当に養育費を受け取っていないなら、0円の申告と未払い請求は別の話です
取り決めはあるものの、対象年に養育費が一度も支払われていなければ、受取額0円の申告は誤りではありません。
児童扶養手当を受けていても、相手が養育費を支払う責任はなくなりません。公正証書や調停調書など手元の書面と、入金が止まった月をもとに、未払い分を請求できます。
申告の訂正は自治体へ、未払い養育費の請求は弁護士へ相談できます
児童扶養手当の申告内容、再計算、返還方法は、自治体の担当窓口が案内します。
一方、実際に養育費が支払われていないときは、未払い額の計算や相手への請求、強制執行について弁護士へ相談できます。申告の訂正は自治体、未払い養育費の回収は弁護士が相談先です。