養育費を受け取ると、児童扶養手当の計算に影響することがあります。
ただし、受け取った養育費と同じ金額だけ手当が減るわけではありません。養育費の8割相当額を所得へ加え、本人の所得や扶養親族等の数、控除、同居する扶養義務者等の所得も含めて支給額が決まります。
そのため、養育費を受け取ると必ず支給停止になるとも、受け取らないほうが得になるとも一律にはいえません。まずは、どの金額が計算に入り、どの年の受取額を申告するのかを分けて確認することが大切です。
受け取った養育費の8割が所得へ加算されます
児童扶養手当では、受給資格者が父または母の場合、対象となる子どものために別居親から受け取った養育費の8割相当額が所得へ加算されます。
受給者本人が受け取った分だけでなく、対象となる子どもが受け取った分も含まれます。現金や口座振込のほか、相手が家賃、住宅ローン、光熱費、教育費等を負担した場合も、児童の養育に必要な費用として申告対象になることがあります。
たとえば、1年間に36万円の養育費を受け取った場合、所得へ加える養育費は次のように計算します。
36万円 × 80% = 28万8,000円
これは28万8,000円が手当から直接差し引かれるという意味ではありません。28万8,000円をほかの所得と合わせたうえで、所得限度額や一部支給の計算式へ当てはめます。
児童扶養手当は養育費だけで決まりません
手当の判定では、養育費の8割だけでなく、次の事情を合わせて見ます。
| 確認する内容 |
手当の計算での扱い |
| 給与・事業・公的年金等の所得 |
税法上の所得をもとに計算する |
| 受け取った養育費 |
年間受取額の8割を所得へ加える |
| 医療費控除等 |
対象となる控除を所得から差し引く |
| 扶養親族等の数 |
全部支給・一部支給の所得限度額が変わる |
| 配偶者・同居する扶養義務者等の所得 |
一定額以上の場合は全部支給停止になることがある |
同じ養育費を受け取っていても、本人の所得、控除、扶養する人数、同居する家族の状況によって結果は異なります。
2026年4月分からの児童扶養手当はいくらですか
2026年4月分からの月額は、次のとおりです。
| 対象 |
全部支給 |
一部支給 |
| 児童1人目 |
48,050円 |
48,040円〜11,340円 |
| 児童2人目以降の加算 |
1人につき11,350円 |
1人につき11,340円〜5,680円 |
手当額は物価の変動等により改定されます。年度が変わったときは、住所地の自治体から届く通知で現在の認定額を確認してください。
所得限度額は扶養親族等の数で変わります
受給資格者本人の所得限度額は、扶養親族等の数によって異なります。2026年時点の主な基準は次のとおりです。
| 扶養親族等の数 |
全部支給の所得限度額 |
一部支給の所得限度額 |
| 0人 |
69万円 |
208万円 |
| 1人 |
107万円 |
246万円 |
| 2人 |
145万円 |
284万円 |
| 3人 |
183万円 |
322万円 |
ここでいう「所得」は、給与の額面年収そのものではありません。給与所得控除等を反映した所得に、養育費の8割を加え、一律8万円や医療費控除等を差し引いて計算します。給与所得または公的年金等に係る所得がある場合は、合計額から最大10万円を控除する扱いもあります。
同居する親や兄弟姉妹等が扶養義務者に当たる場合、その方の所得も確認されることがあります。本人の所得が限度額より低くても、扶養義務者等の所得によって全部支給停止となる場合があるため、本人の数字だけで判断しないようにしてください。
一部支給額は所得額を計算式へ当てはめます
所得額が全部支給の限度額を超え、一部支給の限度額未満であれば、一部支給となります。
2026年4月分以後の児童1人目は、次の式で月額の目安を計算します。
48,040円 −(所得額 − 全部支給の所得限度額)× 0.0264029
2人目以降の加算額も、別の係数を使って計算します。端数処理や各種控除があるため、最終的な支給額は自治体の認定通知で確認してください。
この計算からも、養育費の8割が手当からそのまま差し引かれるわけではないことが分かります。養育費を受け取った結果、一部支給額が下がることはありますが、減る金額は各世帯の所得状況によって異なります。
申告する養育費には子どもが受け取った分も含まれます
養育費として申告するか迷いやすい支払いは、支払者、受取人、目的、支払方法を分けて整理してください。
| 確認する項目 |
整理する内容 |
| 支払者 |
対象となる子どもの父または母か |
| 受取人 |
受給者本人または対象となる子どもか |
| 支払いの内容 |
養育費、仕送り、生活費、家賃、教育費等か |
| 支払方法 |
手渡し、郵送、本人または子ども名義の口座振込等か |
| 受け取った時期 |
申告対象となる年の1月から12月か |
養育費という名目でなくても、子どもの生活費や教育費として相手が負担したものは対象になる場合があります。反対に、受け取っていない未払い分を、受け取った養育費として計上するものではありません。
過去の未払い分をまとめて受け取った場合や、相手が学校・賃貸人等へ直接支払った場合は、どの年の養育費として扱うかを住所地の自治体窓口で確認してください。
申告対象となる年は請求する時期で異なります
所得制限は原則として前年の所得をもとに判定されます。ただし、1月から9月までに新たに認定請求する場合は、前々年の所得が使われます。
養育費の申告書も、判定に使う所得の年に合わせて、1月から12月までに実際に受け取った額を記載します。
| 手続の場面 |
主に申告する養育費 |
| 1月〜9月に新たに認定請求 |
前々年の1月〜12月に受け取った額 |
| 10月〜12月に新たに認定請求 |
前年の1月〜12月に受け取った額 |
| 毎年8月の現況届 |
自治体が指定する前年分の受取額 |
年度や個別事情により追加資料を求められることがあります。申告書が届いたら、対象となる年を確認してから集計してください。
養育費の受取記録を毎月残してください
申告時に困らないよう、養育費の受取額と日付を毎月記録しておくと整理しやすくなります。
- 通帳やインターネットバンキングの入金履歴
- 手渡しで受け取ったときの領収書や受取メモ
- 相手が家賃や教育費等を直接支払ったことが分かる書類
- 支払日と対象月が分かるLINEやメール
- 取り決めた月額・支払日が分かる合意書や調停調書
途中で月額が変わった場合や、複数月分をまとめて受け取った場合は、振込額だけでなく、何月分かも記録してください。
養育費は現況届で正確に申告してください
児童扶養手当を受けている方は、原則として毎年8月に現況届を提出します。養育費に関する申告書では、対象期間に受給者本人または子どもが受け取った額、支払者、受取状況等を記載します。
受け取っていない場合も、申告書の合計欄へ「0」または「なし」と記載する様式があります。記入方法は自治体ごとに確認してください。
申告内容に誤りがあり、手当が多く支給されていた場合は、返還が必要になることがあります。届出や必要書類を正当な理由なく提出しない場合、支払いが一時的に止まることもあるため、分からない項目は空欄のままにせず自治体窓口へ確認してください。
児童扶養手当を受けていても養育費は請求できます
児童扶養手当と養育費は、どちらか一方を選ぶ制度ではありません。児童扶養手当を受けることで、別居する父母の養育費を負担する義務がなくなるわけでもありません。
養育費を受け取ると手当額へ影響することはありますが、だからといって養育費を請求しないほうがよいと一般化することはできません。養育費の月額を決めるときは、児童扶養手当とは分けて、父母双方の収入や子どもの人数・年齢から検討してください。
すでに取り決めた養育費が支払われていない場合は、児童扶養手当の計算とは別に、未払い分の記録と請求方法を整理する必要があります。
養育費と児童扶養手当は分けて整理してください
養育費を受け取ると、受取額の8割が児童扶養手当の所得計算へ加わります。ただし、その8割が手当から直接差し引かれるわけではありません。
実際の手当額は、本人の所得、扶養親族等の数、控除、同居する扶養義務者等の所得によって変わります。まずは対象年の養育費を正確に集計し、現況届や養育費の申告書へ記載してください。
計算結果や申告対象に迷うときは、住所地の自治体窓口で確認することが大切です。養育費が支払われていない場合は、手当の申告とは分けて、取り決めと入金記録を整理しておきましょう。