元夫が再婚し、再婚相手にも収入があるようです。その収入も養育費の金額に影響するのでしょうか。
元夫が再婚した場合も、自分が再婚した場合も、再婚後の世帯収入が増えると養育費まで変わるように感じるかもしれません。
最初に分けたいのは、誰が再婚したのか、再婚相手と子どもが養子縁組したのか、新たに扶養する子どもが増えたのかという3点です。
自分が再婚しても、再婚相手の年収はそのまま合算されません
養育費を受け取っている方が再婚しても、それだけでは再婚相手と子どもの間に法律上の親子関係は生じません。再婚相手は、養子縁組をしていない子どもの法的な親ではないため、再婚相手の年収を自分の年収へ足して養育費を計算するのが原則ではありません。
別居している実父と子どもの親子関係や、実父が子どもを扶養する責務も、あなたが再婚しただけではなくなりません。再婚相手の収入が高いという理由だけで、元夫が養育費を一方的に減らしたり、支払いをやめたりすることはできません。
例:自分が再婚したものの、子どもは養子縁組していない場合
あなたが会社員の男性と再婚し、その男性の年収が600万円だったとしても、子どもと養子縁組していなければ、その600万円をあなたの年収へそのまま加えるものではありません。養育費は、子どもの実父と実母の収入を基本として考えます。
ただし、再婚相手が子どもの生活費を長期間にわたり全面的に負担し、実質的にも親子に近い生活をしているなど、特別な事情があれば、家庭全体の生活状況が間接的に考慮されることはあります。
再婚相手が子どもと養子縁組すると、収入の位置づけが変わります
再婚相手が子どもと普通養子縁組すると、再婚相手は法律上の養親となり、子どもを扶養する義務を負います。この場合は、養親の収入や扶養能力が、養育費を見直す際の重要な事情になります。
一方で、普通養子縁組をしても、子どもと別居する実親との法律上の親子関係は続きます。したがって、養子縁組をした日から元夫の養育費が当然に0円になるわけではありません。
実際に減額や免除が認められるかは、養親と実父母の収入、子どもの生活費、ほかに扶養する家族の有無などによって異なります。現在の養育費を変えるには、父母の合意または家庭裁判所の調停・審判が必要です。
例:自分の再婚相手が子どもと養子縁組した場合
再婚相手に安定した収入があり、子どもと普通養子縁組をして生活を支えている場合、元夫から養育費の減額を求められることがあります。しかし、元夫が口頭で「養父ができたから来月から払わない」と告げただけでは、現在の取り決めは変わりません。
元夫が再婚しても、再婚相手の収入は元夫の年収になりません
元夫が高収入の女性と再婚したとしても、その女性の年収を元夫本人の年収へ足して養育費を増額するわけではありません。反対に、再婚相手に収入がないという理由だけで、元夫が現在の養育費を自動的に減額できるわけでもありません。
夫婦には互いに協力し扶助する義務があるため、再婚相手の収入や夫婦の家計分担が、元夫の実際の生活状況を考える際の一事情になることはあります。ただし、再婚相手の収入全額を元夫の収入として扱うものではありません。
元夫に新しい子どもが生まれた場合は、扶養する人数が変わります
元夫と再婚相手との間に子どもが生まれた場合、元夫はその子にも扶養義務を負います。元夫が再婚相手の連れ子と養子縁組した場合も、養親として扶養義務を負います。
このように元夫が扶養する子どもが増えたことは、養育費の変更を求める事情になり得ます。ただし、新しい子どもの出生や養子縁組だけで、これまでの養育費が自動的に減るわけではありません。
父母双方の現在の収入、前婚の子と新しい子の人数・年齢、それぞれの生活費、ほかの扶養関係を合わせて、現在の月額を見直す必要があるかが検討されます。
養子縁組がなくても収入が考慮された例はありますが、例外的です
再婚相手と子どもが養子縁組をしていなければ、再婚相手は原則として子どもの法的な扶養義務者ではありません。
もっとも、再婚相手が高収入で、子どもの生活費を実際に負担し、長期間にわたり養子に近い状態で暮らしていたなどの特殊な事情から、再婚相手の収入の一部を間接的に考慮した裁判例もあります。
これは「再婚相手に収入があれば必ず養育費が減る」という意味ではありません。養子縁組の有無、同居期間、実際の扶養状況、父母本人の収入などを踏まえた個別の事例です。
元夫から減額を求められたら、理由と変更内容を具体的に示してもらいましょう
「再婚したから養育費を下げたい」と言われても、その場で応じる必要はありません。まず、次の内容を具体的に示してもらいましょう。
- 減額を求める理由は、再婚だけなのか、新しい子どもの出生や養子縁組なのか
- 希望する月額はいくらか
- いつの支払い分から変更したいのか
- 元夫本人の現在の収入はいくらか
- 新たに扶養する子どもの人数と年齢
- 再婚相手の子と養子縁組しているか
- 現在の取り決めを変更する根拠となる資料があるか
再婚相手の収入だけでは、養育費が増えるか減るかは決まりません
再婚相手の収入は、父母本人の年収へ当然に加えるものではありません。最初に見るのは、誰が再婚したのか、子どもと再婚相手が養子縁組したのか、新たに扶養する子どもが増えたのかという事情です。
自分が再婚しただけ、または元夫が再婚しただけであれば、現在の養育費は自動的に変わりません。養子縁組や新しい子どもの出生がある場合でも、父母・養親の収入と扶養関係を個別に見たうえで、合意または家庭裁判所の手続により変更されます。