妊娠中に離婚する場合でも、お腹の子の養育費について出生前から話し合うことはできます。ただし、実際の支払いは出生後を開始時期として決めるのが基本です。
出生前に合意しただけで、子どもが生まれた日に金額や支払日が自動的に確定するわけではありません。婚姻中に妊娠した子どもか、婚姻していない父母の子どもかによって、認知が必要かどうかも異なります。
妊娠中は出生後の養育費について取り決められます
妊娠中は、出生後の養育費について父母で話し合い、合意内容を書面に残せます。まだ決めにくい項目は、出生後に見直す条件まで書いておくと、何を再協議するのかが明確になります。
| 妊娠中に決める内容 |
書き方のポイント |
| 支払いを始める月 |
「子どもが生まれた月から」など、基準を具体的にする |
| 月額 |
金額を数字で書き、出生後に見直す場合は時期も決める |
| 支払日・振込先 |
毎月何日までに、どの口座へ振り込むかを書く |
| 支払期間 |
年齢だけでなく、「満20歳に達する月まで」など終わる月を明確にする |
| 出産・医療等の費用 |
毎月の養育費とは分け、誰がどの割合で負担するか話し合う |
「養育費については後で話す」とだけ書くと、出生後に月額や開始月について認識が分かれることがあります。決まった項目と、出生後に改めて決める項目を分けて残してください。
婚姻中に妊娠した子どもは夫の子と推定されるのが原則です
民法772条では、妻が婚姻中に妊娠した子どもは、その婚姻における夫の子と推定されます。婚姻中に妊娠し、離婚後に出生した場合も、原則として元夫が法律上の父になります。
離婚後300日以内に生まれた子どもは、婚姻中に妊娠したものと推定されます。ただし、離婚後に母が再婚し、その再婚後に子どもが生まれた場合は、出生の直近の婚姻における夫の子と推定されるという例外があります。
そのため、「離婚後300日以内なら必ず元夫の子になる」とは限りません。離婚日、再婚日、出生日と、実際の父が誰かを分けて確認する必要があります。
法律上の父と推定される人と実際の父が異なる場合は、養育費の金額を決める前に、父子関係を整理する家庭裁判所の手続が必要になることがあります。嫡出否認や親子関係不存在確認など、どの手続を利用できるか、誰が申し立てられるか、期限があるかは事情によって異なります。
出生届や戸籍、婚姻・離婚・再婚の日付が分かる資料をそろえ、できるだけ早く弁護士へ相談してください。父子関係の手続が必要か、その後誰に養育費を請求するかを順番に整理できます。
婚姻していない場合は認知の手続を確認します
父母が婚姻していない場合、父との法律上の親子関係を成立させるには認知が必要です。父が応じる場合は、妊娠中でも胎児認知ができます。胎児認知には母の承諾が必要です。
父が胎児認知に応じない場合は、出生後に認知調停を申し立て、合意できなければ認知の訴えを検討します。DNA鑑定が行われる場合はありますが、DNA鑑定だけで認知が成立するわけではありません。
出生後は金額と開始月を具体的に決めます
出生前に養育費を取り決めている場合は、出生届や認知の状況を確認し、合意した開始月・月額・支払日どおりに支払いを始めます。子どもの人数や出生後の生活状況をもとに金額を見直す約束があるときは、その条件に沿って話し合います。
出生前に合意できなかった場合も、出生後に父母で話し合えます。まとまらない場合は、家庭裁判所の養育費請求調停を利用する方法があります。
出生しただけで毎月の金額や支払日が自動的に決まるわけではありません。過去分をどこまで求められるかも、出生時から当然に全額と決まらず、請求した時期や経緯等をもとに個別に判断されます。
出産費用は毎月の養育費と分けて話し合います
妊婦健診、出産、入院等にかかる費用は、出生後の毎月の養育費と同じものではありません。負担を求める場合は、費用の種類、見込額、保険や給付で補われる金額、残額を確認し、父母の負担方法を別に話し合ってください。
合意した場合は、毎月の養育費とは項目を分けて書面に残します。費用がまだ確定していない場合は、領収書等を確認して協議する時期と負担方法を決めておくと、出生後の確認がしやすくなります。
離婚前に合意内容を一度読み直してください
署名前には、子どもの出生前の合意であること、支払いの開始月、月額、支払日、終期、出産費用、出生後に見直す項目が具体的に書かれているかを確認します。
まだ合意できていない項目がある場合は、決まっていないことを曖昧な文章で埋めず、出生後にいつ・何を話し合うかを記載してください。