「子どもに会わせないなら養育費は払わない」は通用する?養育費と面会交流の関係


弁護士
木村 和弘
「子どもに会わせてくれないなら、養育費は払わない」と相手から言われ、どうすればよいか悩んでいる方もいると思います。
養育費は、子どもの食費、衣服代、住居費、学校にかかる費用、医療費など、子どもが生活していくために必要なお金です。
子どもに会えないことを理由に、養育費を払わないという相手の言い分は認められません。
養育費は子どもの生活を支えるためのお金であり、子どもに会うことは、子どもが離れて暮らす親とどのように関わるかという問題です。どちらも子どものために大切なことですが、子どもに会わせることを条件に養育費を払うことも、養育費を払わないことを理由に子どもに会わせないこともできません。
「会わせないなら払わない」と言われたときの伝え方

相手から「子どもに会わせないなら、養育費は払わない」と言われたときは、相手が面会について何を不満に思っているのかを、まず落ち着いて聞いてみることが大切です。
相手が「会わせてもらえない」と言っていても、実際には、約束していた日に会えなかったことを不満に思っている場合もあります。次に会える日が決まらないこと、会う時間が短いこと、宿泊を断られたこと、子どもと電話ができないことを不満に思っている場合もあります。
子どもの体調不良や学校行事のため、約束していた日に子どもを会わせられなかった場合には、その事情を相手に伝えてください。子どもの体調や予定が落ち着いた後に、いつなら子どもが無理なく会えるのか、改めて話すこともできると思います。
相手が会う回数や宿泊を希望している場合には、子どもの年齢、体調、学校生活、気持ち、安全面を踏まえて、子どもに無理のない会い方を伝えてみてください。
相手が希望する会い方を、そのまま受け入れなければならないわけではありません。毎週会うことや宿泊が子どもの負担になる場合には、日中の短い時間だけ会う、会う場所を変える、電話や手紙でやり取りするなどの方法もあります。
養育費の金額や支払日がまだ決まっていない場合には、面会のこととは別に、子どもの生活に必要なお金を今後どのように負担していくのかを話すことが大切です。
たとえば、子どもの体調不良で約束の日に会えなかった場合は、次のように伝えてみてください。
相手が「会わせない限り払わない」と繰り返す場合は、LINEやメールを削除せずに残しておくことも大切です。電話で言われたときは、日時と話した内容を、通話後にメモしておくとよいでしょう。
養育費を払わない相手に、子どもを会わせなければならない?

養育費を払わないなら、子どもに会わせたくないと考える方もいるかもしれません。
子どもの生活に必要なお金を払わないのに、子どもと会うことだけを求められれば、「養育費を払わない相手に、なぜ子どもを会わせなければならないのか」と思われるかもしれません。
ただ、養育費を払わないことを理由に、子どもに会わせないとすることはできません。
「養育費を払わないから子どもに会わせない」「子どもに会わせないから養育費を払わない」のどちらも認められません。
養育費と面会交流は、引き換えにできないためです。
しかし、相手が子どもに会いたいと言えば、いつでも会わせなければならないわけでもありません。
相手からの暴力、子どもへの暴言や暴力、虐待、連れ去りの不安があるときは、子どもを会わせなくてよい場合があります。
子供が父親に会いたくないと言っている時はどうすればいい?

お子さんが父親に会いたくないと話していることを父親に伝えたところ、「会わせないなら養育費は払わない」と言われることがあります。
このように言われた時には、子供が会いたくないと言っていると伝えるだけではなく、なぜ会いたくないのか、どうすればまた会えるようになるのかを、父親に具体的に伝えてみてください。
たとえば、前回の面会で父親に言われた言葉がつらく、子供が会うことを怖がっているのであれば、そのときに何を言われ、子供がどう感じているのかを伝えます。
そのことを父親に伝えることで、父親が子供への言葉や態度を振り返り、接し方を改めるきっかけになる場合があります。
宿泊や長時間の面会が負担なのであれば、宿泊はしない、日中の短い時間だけ会う、子供が安心できる場所で会うなど、会い方を変えられないかを伝えてみてください。
父親が子供の気持ちを受け止め、接し方や会い方を変えることで、子供がもう一度会えるようになる場合があります。
子供が会いたくない理由を無視したまま、すぐに面会を約束する必要はありません。
養育費や面会交流について、弁護士に無料で相談できます。
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養育費と面会交流についてよくある質問
01 離婚協議書に「面会をさせないなら養育費は払わない」と書いてあるときは?
この文言があるからといって、父親が面会できなかった月の養育費を払わなくてよいことにはなりません。養育費と面会交流を条件にした約束は、子どもの生活に必要なお金と、子どもが父親と会うことを引き換えにするものだからです。ただし、書面のほかの約束や、実際にどのような経緯で面会ができなかったのかも確認が必要です。離婚協議書、LINE、メールを残し、養育費の未払いと面会交流の問題を分けて対応してください。
02 養育費を払っていない父親から、親子交流調停を申し立てられたら?
親子交流調停では、養育費が未払いであることだけで、子どもを父親に会わせるかどうかが決まるわけではありません。裁判所は、子どもの年齢、気持ち、生活リズム、安全などを踏まえて、子どもに無理のない会い方があるかを見ます。未払いの養育費については、親子交流調停とは別に対応します。面会について困っている事情と、未払いがいつから・いくらあるのかを分けて整理してください。
03 面会交流の取り決めがあるのに、子どもが父親に会いたくないと言ったときは?
取り決めがあるからといって、子どもが会いたくない理由を聞かないまま、約束どおりに会わせなければならないわけではありません。子どもがなぜ会いたくないのか、父親が何を変えれば子どもが安心して会えるようになるのかを伝え、会う時間、場所、宿泊の有無を見直してください。話し合いで決めた約束があっても、子どもの気持ちや安全に変化があるなら、会い方の変更を求める必要があります。まとまらないときは、親子交流調停で今の子どもの状況に合う方法を決めます。
04 親子交流調停で、養育費の未払いも一緒に決めてもらえますか?
親子交流調停は、子どもと父親が会うか、会うならどのように会うかを決める手続です。未払いの養育費を払ってもらう手続とは別です。すでに養育費の金額や支払日が決まっている場合は、未払いの月と金額を確認し、手元の書面に応じた方法で請求します。養育費をまだ決めていない場合は、養育費請求調停で金額と支払日を決めます。
05 父親から「会わせなかった月の養育費を返してほしい」と言われたら?
養育費は、子どもの生活に使うために払われるものです。面会ができなかったことを理由に、父親が一方的に返してほしいと言えるものではありません。面会ができなかった理由、父親へ伝えていた内容、LINEやメールのやり取りを残してください。返すように繰り返し求められたり、今後の養育費と引き換えにされたりしたときは、養育費の問題と面会交流の問題を分けて確認する必要があります。