養育費の入金がないと、生活への不安だけでなく、「なぜ約束どおりに払ってくれないのか」という怒りも出てくると思います。怒りや不安をそのまま文章にすると、何月分が未払いになっているのか、今後いつ支払う予定なのかという大切な確認事項が埋もれてしまいます。
催促の目的は、相手を責めることではありません。何月分の養育費が未払いになっているのかを伝え、相手の状況と、いつ・いくら支払えるのかを尋ねることです。
最初から強い言葉を使う必要はありません。ただし、曖昧な連絡では、相手も何について返事をすればよいのか分かりません。未払いになっている月と金額、今後いつ支払えるのかを、落ち着いた文章で具体的に伝えるようにしてください。
催促メッセージを送る前に確認するべきことは?
相手へ連絡する前に、通帳やインターネットバンキングで最後の入金日を見て、未払いになっている月と合計額を確かめるようにしてください。取り決めた支払日が分かる書面やLINEがあれば、その内容とも照らし合わせます。
ここで確かめた月・金額・支払日は、そのまま文面に書きます。相手へ振込を求める日と、支払えない事情がある場合に返信してほしい日も具体的に決めておくと、何について返事が必要なのかが伝わります。
取り決めた金額や支払日が分からないときは、推測した数字を書かず、過去のLINE・メールや入金履歴から分かる内容だけを文面へ反映するようにしてください。
「早めに」「できるだけ早く」ではなく、振込を求める日と返信してほしい日を○月○日までと具体的に書くことで、相手も必要な対応を判断しやすくなります。
初めて支払いが遅れた場合の伝え方
一度目の支払い遅れでは、振込手続を忘れている、支払日を勘違いしている、入金が取引履歴へまだ反映されていないといった可能性もあります。今月分の入金が確認できていないことを伝え、振り込みの状況を尋ねるようにしてください。
最初の連絡に書く内容は、対象月、取り決めていた支払日、現在も入金を確認できていないことです。すでに振込済みの場合の行き違いにも触れると、相手が返答しやすくなります。
このような場合は、次のような文面で伝えてみてください。
未払いが複数月続いている場合の伝え方
未払いが複数月ある場合、「何か月も払われていません」だけでは、相手と認識がずれることがあります。何月分がいくら未払いなのかを月ごとに示し、合計額まで伝えるようにしてください。
すでに催促している場合は、前回連絡した日も書きます。今回初めて伝える内容と、これまでに伝えた内容を分けることで、未払いの経過が分かりやすくなります。
このような場合は、次のような文面で伝えてみてください。
「今は払えない」と言われた場合の伝え方
相手から「仕事が減った」「生活が苦しい」「今月は払えない」と言われた場合、理由を聞くだけでやり取りを終えると、支払いが再開する時期が決まりません。
まず事情を聞いたことを伝えたうえで、いつから支払えるのか、今払える金額はいくらかを尋ねます。分割払いを受け入れるか、毎月の養育費を変更するかは別の問題です。すぐに「分かりました」「払える額で構いません」と返事をせず、未払い分と今後の毎月分を分けて考えるようにしてください。
このような場合は、次のような文面で伝えてみてください。
催促しても返事がない場合の伝え方
最初のメッセージに返事がない場合、短い間隔で「見ていますか」「早く払ってください」と何度も送るより、前回の連絡日、現在の未払い額、今回回答してほしい内容を一つの文章にまとめます。
この連絡は、相手を追い詰めるためではなく、今後の対応を決める前に、支払い予定について最後に確認するためのものです。
このような場合は、次のような文面で伝えてみてください。
「子どもに会えないから払わない」と言われた場合の伝え方
相手から「子どもに会わせてもらえないから、養育費は払わない」と言われることがあります。親子交流について不満があることと、養育費が未払いになっていることを一つの条件として話すと、どちらの話も進みにくくなります。
相手の不満を否定する必要はありません。ただし、養育費は子どもの生活に必要なお金であり、親子交流の話とは分けて確認したいことを落ち着いて伝えます。
このような場合は、次のような文面で伝えてみてください。
催促メッセージに書かない方がよい言葉があります
強い言葉を使っても、未払い月、金額、支払い予定が明確になるわけではありません。相手への評価や脅しではなく、確認できる事実と求める返答を書きます。
| 書かない方がよい表現 |
避ける理由 |
自然な伝え方 |
| 「最低」「親失格」 |
相手への非難が中心になり、支払いの話が進みにくくなります |
「○月分○万円の入金を確認できていません」 |
| 「払わないなら子どもに会わせない」 |
養育費と親子交流が交換条件のように読まれます |
「養育費と親子交流は分けて話したいです」 |
| 「会社に連絡する」「SNSで公表する」 |
勤務先や第三者を巻き込む予告になります |
「○月○日までに支払い予定を返信してください」 |
| 「今すぐ」「早く払って」 |
対象月、金額、期限が分かりません |
「○月分○万円を、○月○日までにお願いします」 |
| 「必ず差し押さえる」 |
相手を怖がらせる言葉だけでは、催促の内容が伝わりません |
実際に予定している次の対応だけを簡潔に伝えます |
| 確認していない学費や生活費 |
後から金額の説明が合わなくなるおそれがあります |
通帳や取り決めで確認できる金額だけを書きます |
LINE・メール・電話のどれで伝えるか迷ったとき
普段LINEで連絡しているなら、無理にメールへ変える必要はありません。大切なのは、落ち着いて文章を確認してから送れ、送信日時と相手の返答を残せる方法を選ぶことです。
電話で話す場合は、通話後に「今日話した内容は、○月○日に○万円を支払うということで合っていますか」とLINEやメールを送り、支払日と金額を文章でも確認するようにしてください。
相手から暴言を受ける、電話が長時間続く、言った内容が後で変わる場合は、電話だけでやり取りせず、文章での連絡へ切り替える方が確認しやすくなります。
送った文面と相手の返答はどう残す?
メッセージを送った後は、送信した文章だけでなく、送信日時、既読の有無、相手の返答、支払予定、実際の入金を一緒に残します。
- 誰から誰への連絡か分かる状態で、前後のやり取りを保存する
- 相手が約束した支払日と金額を保存する
- 通帳や取引履歴で、実際の入金日と金額を確認する
- 電話で決めた内容も、LINEやメールで確認する
スクリーンショットは催促文だけを切り取らず、前後の会話が分かる範囲で保存するようにしてください。相手がメッセージを削除する可能性もあるため、重要な返答は早めに手元へ残します。
期限を伝えても返答がない場合は、書面で伝える方法があります
振込期限と回答期限を過ぎても返答がない場合は、同じメッセージを短い間隔で繰り返すより、未払い月、合計額、期限を整理した書面を送る方法があります。
内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を送ったかを記録できる方法です。ただし、送っただけで支払いが保証されるわけではありません。書く内容と送付後の対応は、別の記事で詳しく説明しています。
相手にどう伝えればよいか分からない方へ
催促の文面は、未払いの期間、これまでの連絡、相手から返答があるかによって変わります。例文をそのまま送るのではなく、実際の対象月、金額、支払日、相手の返答に合わせた書き換えが必要です。
まだ一度も連絡していない場合や、何度か送ったのに返事がない場合に、どのように伝えればよいか迷うときはご相談ください。取り決めが分かる書面、入金履歴、これまでのやり取りを見ながら、現在の状況に合う伝え方を一緒に整理します。