離婚するときに公正証書を作らなかったため、「今から養育費を請求できないのでは」と不安になっていませんか。
結論からお伝えすると、公正証書がなくても養育費は請求できます。 公正証書は、養育費を請求するための絶対条件ではありません。
ただし、公正証書がないときは、手元に残っている書面ややり取りを確認してから進めることが大切です。
公正証書がないことと、養育費について何も決めていないことは同じではありません。
まずは、父母で決めた内容が残っているのか、裁判所で決めた書類があるのか、まだ条件を決めていないのかを分けてください。
公正証書がなくても請求できる理由
公正証書は、父母が決めた養育費を公証人が公文書にしたものです。公正証書がなければ養育費を求められない、という意味ではありません。
公正証書の有無が特に関係するのは、相手が支払わないときに、どの書類を使って強制執行へ進めるかという場面です。
| 確認したいこと |
公正証書がない場合 |
| 養育費を請求できるか |
公正証書がなくても請求できる |
| 父母で決めた内容を確認できるか |
合意書、離婚協議書、LINE、メール、振込履歴などを確認する |
| 相手が条件に応じないとき |
養育費請求調停で条件を決めることができる |
| 直ちに強制執行できるか |
調停調書・審判書の有無や、手元の書面の内容・作成時期によって異なる |
最初に手元にあるものを確認してください
公正証書がなくても、次の書類や記録が請求の進め方を判断する手がかりになります。手元にあるものだけで構いません。
- 養育費について書かれた離婚協議書や合意書
- 金額や支払日を話したLINE・メール
- 相手から養育費が振り込まれていたことが分かる通帳や取引履歴
- 家庭裁判所で作成された調停調書や審判書
- 養育費について何も決めていないこと
調停調書や審判書は、公正証書とは別の書類です。これらが手元にある場合は、公正証書がなくても、まずそこに書かれた養育費の内容を確認してください。
合意書やLINEがある場合は、決めた内容に沿って請求します
離婚協議書や合意書に養育費の金額、支払日、支払期間が書かれている場合は、その内容に沿って支払いを求めます。
口約束だけでも、LINE・メールや過去の振込履歴から、父母が決めた内容を確認できることがあります。相手へ連絡するときは、いつから、いくらを支払ってほしいのかを文章で伝え、送受信の記録を残してください。
相手が「そのような約束はしていない」と争うこともあるため、やり取りを削除せず、前後の会話が分かる形で保存することが大切です。
条件を決めていない場合でも、今から請求できます
養育費の金額や支払日を決めずに離婚した場合でも、公正証書がないことを理由に請求を諦める必要はありません。
相手と連絡を取れる場合は、今後の養育費を支払ってほしいことを伝え、金額や支払開始時期について話し合います。口頭だけで終わらせず、LINEやメールなど、後から内容を確認できる方法で伝えてください。
相手が話し合いに応じない、連絡を取れない、条件がまとまらない場合は、家庭裁判所の養育費請求調停を利用できます。申立てに公正証書は必要ありません。調停がまとまらないときは審判へ移り、家庭裁判所が事情を踏まえて判断します。
請求できることと、直ちに強制執行できることは別です
公正証書がなくても養育費は請求できます。 ただし、相手が支払わないときに直ちに強制執行へ進めるかどうかは、手元の書類によって異なります。
強制執行認諾文言のある公正証書は、未払い時に強制執行へ進むために使われます。一方、公正証書がなくても、調停調書や審判書などを使える場合があります。
また、父母だけで作成した合意書などについても、書面の内容や作成時期によって利用できる制度が異なります。公正証書がないという理由だけで、強制執行の可否を一律に判断しないでください。
今の状況に合う次の一歩
| 今の状況 |
次にすること |
| 調停調書・審判書がある |
記載された金額、支払日、支払期間を確認する |
| 離婚協議書・合意書がある |
記載内容に沿って、支払いを求める連絡を文章で残す |
| 口約束やLINEだけがある |
金額・支払日について分かる記録を保存し、決めた内容を相手へ伝える |
| 養育費の条件を決めていない |
相手へ支払いを求め、応じない場合は養育費請求調停を利用する |
公正証書がなくても、手元にある記録から請求の進め方を整理できます。どの書類が使えるのか、相手へどう伝えればよいのか分からない場合は、分かる範囲の資料を手元に置いてご相談ください。