「離婚するとき、相手は『毎月、養育費を払う』と言いました。でも、書面はなく、口約束だけです。この約束でも請求できるのでしょうか」
こういったご質問をいただくことがあります。
書面が残っていない場合、「口約束だけで本当に請求できるのか」が気になるところではないでしょうか。
結論からお伝えすると、==口約束だけでも、養育費について合意した事実があれば請求できます。==
書面を作っていないという理由だけで、父母の間でした約束が直ちになくなるわけではありません。
ただし、「請求できること」と「約束した金額や期間を確認できること」は、分けて考える必要があります。
口約束でも養育費の合意は成立します
養育費について、父母の間で金額や支払期間を決めた場合、その合意は口頭でも成立します。
たとえば、「毎月3万円を20歳まで支払う」と話し、お互いがその内容に同意していたのであれば、書面がないことだけを理由に約束が無効になるわけではありません。
==「口約束だから請求できない」ということではありません。==
問題になるのは、相手が後から「そんな約束はしていない」「金額までは決めていない」と否定したときです。
「請求できる」と「約束を確認できる」は別の問題です
口約束による養育費では、何を約束したのかを後から確認しにくいことがあります。
次の内容を具体的に決めていたかで、確認すべき点が変わります。
| 口約束の内容 |
確認すること |
| 毎月の金額 |
月額をいくらと決めたか |
| 支払日 |
毎月いつまでに支払う約束だったか |
| 支払期間 |
いつからいつまで支払う話だったか |
| 支払方法 |
振込みか手渡しか、振込先を決めていたか |
「養育費を払う」という話だけで、金額や期間を決めていなかった場合は、口約束の内容として具体的にいくらを請求できるのかが問題になります。
一方、金額や期間まで決めていた場合は、その内容を確認できる資料があるかを見ていきます。
口約束があったことを確認する資料
口約束だけでも、当時のやり取りや支払いの記録が残っていることがあります。
==一つの資料だけで判断するのではなく、複数の記録を時系列で確認することが大切です。==
LINEやメールのやり取り
「毎月3万円を振り込む」「今月分は来週払う」などのメッセージが残っていれば、養育費を支払う約束や金額を確認する材料になります。
該当する一文だけでなく、前後の会話、送信日時、相手のアカウントが分かる形で残しておくと、やり取りの経緯を確認しやすくなります。
振込履歴や通帳の記録
相手から毎月ほぼ同じ金額が振り込まれていた場合、その記録は口約束の内容を考える材料になります。
振込名義、金額、日付、支払いが始まった時期、止まった時期を確認します。
ただし、振込履歴だけでは、そのお金が養育費なのか、何月分なのかまで分からないこともあります。メッセージなど、支払いの理由が分かる記録と一緒に確認します。
録音や当時のメモ
養育費について話した録音、話し合った直後に作成したメモ、カレンダーへの記録などが残っている場合もあります。
記録を見つけたら、作成した日や話し合った時期が分かる状態で保管してください。
すでに養育費が支払われていた記録
口約束をした後、相手がその内容に沿って支払いを続けていた場合、その事実は重要です。
たとえば、毎月決まった時期に同じ金額が振り込まれていれば、「養育費を支払う約束はしていない」という説明と矛盾する可能性があります。
==書面がなくても、実際の支払いから口約束の内容を確認できることがあります。==
相手が口約束を否定したら請求できないのか
相手に否定されたからといって、それだけで口約束がなかったことになるわけではありません。
LINE、メール、振込履歴、録音、当時のメモなどを確認し、約束した時期や内容を整理します。
ただし、残っている資料からどこまで確認できるかは、それぞれの状況によって異なります。「口約束をした記憶がある」ということだけで、決めた内容のすべてを確認できるとは限りません。
口約束だけだからと諦める必要はありません
口約束だけで養育費を決めた場合でも、それだけで請求できなくなるわけではありません。
大切なのは、==養育費を支払う合意があったか、そして何を決めていたのかを確認することです。==
「書面がないから請求できない」と自分で決める前に、残っているメッセージや振込履歴を確認してみてください。
どの資料が口約束の内容を確認する材料になるのか迷ったときは、お気軽にご相談ください。