「養育費が何か月も振り込まれません。LINEも既読無視で、電話にも出ない。もう相手の会社に直接電話しようと思っているのですが…。」
連絡を無視され、勤務先へ直接電話しようと考える方もいます。
何度連絡しても応答がないと、勤務先へ直接伝えるしかないと考えることがあります。ただ、勤務先への電話は、養育費の回収をかえって難しくするおそれがあります。
勤務先へ電話する前に確認したいこと
勤務先への直接連絡は、相手の退職や関係悪化につながるおそれがあるため、避けた方がよいと考えます。
相手の会社に電話すると、こうなる可能性があります
相手が退職してしまう
相手の会社に電話すると、相手は「職場に居づらくなった」と退職してしまう可能性があります。退職すると給与の差押えができなくなります。「払えない」と主張する口実を与えてしまい、養育費の回収がさらに困難になります。
逆に訴えられる
会社の上司に事情を話すと、相手から「プライバシーの侵害だ」「名誉毀損で訴える」と言われる可能性があります。養育費を請求する側なのに、逆に慰謝料を請求される形になりかねません。
なぜ「会社に電話」がリスクになるのか
養育費を払ってもらうために電話したはずなのに、逆にあなたが不利になる。その理由は大きく3つあります。
| リスク |
具体的にどうなるか |
| 相手が退職する |
給与差押えができなくなり、回収がさらに困難に |
| 法的に訴えられる |
プライバシー侵害・名誉毀損で慰謝料を請求される可能性 |
| 関係が決定的に壊れる |
「もう一切払わない」と態度を硬化させてしまう |
大切なのは「一回だけ取り返す」ことではなく、これから先もずっと払ってもらうことです。相手を追い詰めて退職させてしまっては、本末転倒です。
あなたが電話しなくても、法律が代わりにやってくれる
ここで知っておいていただきたいのは、あなたが相手の会社に電話しなくても、法律の力で合法的に給与から天引きできる制度があるということです。
「給与差押え」という制度では、裁判所から相手の会社に直接命令が届きます。あなたが会社に連絡する必要は一切ありません。
| 給与差押えのポイント |
内容 |
| 手続きの進め方 |
裁判所を通じて進める法的な手続き |
| 差押えできる金額 |
給与の最大2分の1(養育費は通常より有利) |
| 将来分の差押え |
可能(毎月自動的に天引きされる) |
| 勤務先への通知 |
給与差押えでは裁判所から勤務先へ通知される |
給与差押えは、勤務先へ直接電話するのではなく、裁判所を通じて進める手続きです。利用できる条件や必要書類を確認したうえで進めます。
まずは段階を踏んで進めることが大事
ここで少し、個人的な考えをお伝えさせてください。
いきなり差押えに進むことが、必ずしも最善とは限りません。まずは弁護士名義の内容証明郵便を送るだけで、支払いが再開するケースも実は多いのです。
「弁護士から書面が届いた」というだけで、「このまま無視すると差押えになる」と相手が理解し、態度が変わることがあります。
それでも払わないなら、調停や強制執行に進む。この段階を踏むことで、長く安定して払い続けてもらえる可能性が高くなります。
相手の会社に電話する前に、まず相談してみませんか
「もう会社に電話するしかない」と思い詰めているということは、それだけ長い間、一人で我慢してきたということだと思います。
でも、電話してしまう前に、一度だけ相談してみてください。あなたの状況を聞いた上で、一番効果的で、あなた自身にリスクのない方法を一緒に考えていきましょう。