養育費が振り込まれないとき、国や自治体が代わりに払ってくれる制度があるのか気になる方もいらっしゃると思います。
2026年9月時点では、未払い養育費を国が毎月立て替える全国一律の制度はありません。
ただし、自治体によっては、未払い分を一定期間だけ直接立て替える事業や、民間の養育費保証サービスを利用するときの費用を補助する事業があります。公正証書の作成費や強制執行の申立費用等を支援している自治体もあります。
制度名が似ていても、支払う主体や対象となる費用は異なります。まずは違いを分けて整理しておきましょう。
国が全国一律に養育費を立て替える制度はありません
国は、自治体が行う養育費確保等の支援へ補助を行っています。しかし、これは国が未払い月の養育費を受取側へ直接振り込む制度ではありません。
国の支援を受けて自治体がどの事業を実施するかは地域によって異なります。そのため、「国の支援事業がある」と「国が養育費を立て替える」は分けて理解する必要があります。
国による不払養育費の立替え・取立て制度を設ける法案が過去に国会へ提出されたことはありますが、2026年9月時点で全国一律の立替え制度として施行されたものではありません。
養育費確保支援事業では何を支援してもらえる?
自治体の養育費確保支援は、未払い養育費そのものを支給する制度とは限りません。取り決めや回収に必要な費用の一部を補助するものが中心です。
| 支援の種類 |
支援される内容の例 |
注意したい点 |
| 公正証書等の作成費補助 |
公証人手数料、戸籍謄本等の取得費、郵便料等 |
対象経費や公正証書の内容に要件がある場合があります |
| ADR利用費補助 |
裁判外紛争解決手続の申込料や依頼料等 |
対象となるADR機関や費用の範囲を確認します |
| 養育費保証料の補助 |
民間保証会社との契約時に負担する初回保証料等 |
自治体ではなく保証会社と契約する仕組みです |
| 回収手続の費用補助 |
民事執行の申立費用、書類取得費、弁護士費用等 |
すでに未払いがある場合も対象になるか確認が必要です |
| 相談・同行支援 |
弁護士等への相談、家庭裁判所等への同行 |
相談できる内容や回数は自治体ごとに異なります |
実施の有無・対象者・上限・申請期限は自治体ごとに決められています。同じ名称の事業でも内容が同じとは限りません。
自治体が未払い分を直接立て替える地域もあります
一部の自治体には、民間保証料の補助ではなく、自治体自身が未払い養育費の一部を一定期間だけ立て替える事業があります。
たとえば、さいたま市では、支払義務者へ市が働きかけても支払いがない場合に、対象者へ児童1人当たり月5万円を上限として最大3か月分を予算の範囲内で立て替え、その後に支払義務者へ督促する事業が案内されています。
ただし、市内居住、所得水準、養育費の債務名義、前月分の未払い等の要件があります。さいたま市の制度を、ほかの自治体でも同じように使えるわけではありません。
自治体の直接立替えを調べるときは、対象地域・支給期間・上限・必要な取り決めを一緒に確かめることが大切です。
民間の養育費保証サービスは自治体の給付ではありません
養育費保証サービスは、受取側と民間の保証会社が契約し、支払義務者から入金がない場合に契約条件の範囲で保証会社が支払う仕組みです。
自治体が行う「養育費保証料補助」は、保証会社へ支払う初回保証料等の一部を補助するものです。自治体が毎月の養育費を保証するという意味ではありません。
保証会社との契約前には、次の内容を確認してください。
| 確認する内容 |
確かめたいこと |
| 保証の対象 |
毎月分だけか、契約前の未払い分も対象か |
| 支払われる条件 |
未払い後の連絡方法、待機期間、必要書類 |
| 保証額と期間 |
月額の上限、保証される月数、契約期間 |
| 利用条件 |
公正証書・調停調書等が必要か、支払状況の条件があるか |
| 費用 |
初回保証料、更新料、月額費用、途中解約時の扱い |
サービス名だけで決めず、契約書と重要事項の説明を読んだうえで判断するようにしてください。
居住する自治体では何を確認すればよい?
自治体の公式サイトで、「養育費 確保 支援」「養育費 保証料 補助」「公正証書 補助」と自治体名を組み合わせて探すと、制度ページを見つけやすくなります。
ページが見つからない場合は、ひとり親家庭の支援を担当する窓口へ、次のように尋ねてみてください。
「養育費の取り決めや未払い回収に利用できる補助制度はありますか。公正証書の作成費、保証契約の初回費用、民事執行の申立費用について、対象となる制度があれば教えてください」
窓口の名称は、子育て支援、ひとり親支援、家庭支援等、自治体によって異なります。
費用を支払う前に申請時期を確認してください
補助制度には、契約や公正証書作成の前に相談が必要なものと、費用を支払った後に期限内の申請が必要なものがあります。
同じ保証料補助でも、契約から6か月以内とする自治体もあれば、1年以内とする自治体もあります。領収書、契約書、公正証書・調停調書、戸籍、住民票、所得を確認できる書類等を求められる場合もあります。
先に契約や支払いを済ませると対象外になる可能性があるため、次の内容を窓口へ確認してから進めるようにしてください。
- 相談や申請は支払いの前と後のどちらか
- 対象になる費用と補助上限
- 申請期限
- 居住・所得・子どもの扶養等の要件
- 必要な養育費の取り決めと提出書類
公正証書の作成を検討している方は、強制執行に使える内容と作成手順も確認しておくと安心です。
すでに養育費の未払いがある場合は?
すでに未払いがある場合、自治体の保証料補助は利用できても、契約前に発生した未払い分が民間保証の対象になるとは限りません。
一方、自治体によっては、直接立替え、民事執行の申立費用、書類取得費、弁護士費用等の支援を設けています。手元の取り決め、未払いの時期と金額、相手の住所・勤務先・口座に関する情報を整理し、居住自治体の制度と回収手続を分けて確認してください。
取り決めの状況ごとに未払いへの対応を整理したい方は、次の記事をご覧ください。
合意書面がある場合は、2026年4月からの先取特権を使える可能性もあります。ただし、裁判所への申立てや差し押さえる財産の特定は別に必要です。
立替え制度は実施主体と支援内容を分けて確認しましょう
2026年9月時点では、国が未払い養育費を毎月一律に立て替える制度はありません。
ただし、自治体によっては、未払い分の短期間の直接立替え、民間保証契約の初回費用、公正証書等の作成費、ADR利用費、民事執行の申立費用、弁護士費用等を支援しています。
「立替え」という言葉だけで判断せず、誰が支払う制度なのか、未払い養育費そのものと手続費用のどちらが対象なのか、居住自治体で利用できるかを確認することが大切です。