養育費に連帯保証人をつけることはできます
養育費に連帯保証人をつけることは、保証人になる方本人と有効な保証契約を結べば可能です。
元配偶者の親や親族であっても、本人の合意がないまま連帯保証人にすることはできません。父母だけで作った離婚協議書に名前を書いたり、養育費調停で第三者を保証人にしてほしいと求めたりしても、それだけで保証義務は生じません。
まずは養育費を支払う方と、連帯保証人をお願いしたい理由や候補者を話し合います。そのうえで、候補者本人へ保証する内容と責任を説明し、同意を得る必要があります。
保証人本人の合意は、書面または電磁的記録に残します
保証契約は、口頭の約束だけでは効力が生じません。保証人本人の意思と保証内容を、署名した書面や内容を記録できる電磁的記録に残します。
「支払わなかったら助ける」といった曖昧な言葉では、どの養育費をいくらまで保証するのかが分かりません。少なくとも、次の内容を具体的に決めておきます。
| 決める内容 |
書面で明確にすること |
| 対象となる養育費 |
子どもの氏名、毎月の養育費額 |
| 支払条件 |
支払開始月、毎月の支払日、振込先 |
| 保証する期間 |
いつからいつまでの支払いを保証するか |
| 保証する範囲 |
元本、遅延損害金、特別費用を含むか |
| 金額や期間を変更したとき |
変更後も保証するのか、改めて同意を得るのか |
養育費を後から増額したり、支払期間を延長したりしても、保証人の負担が当然に広がるわけではありません。変更後の内容まで保証してもらうときは、保証人本人の同意を改めて書面等に残すことが大切です。
メリットは、支払いが止まったときの請求先が増えることです
有効な連帯保証契約があれば、支払期日を過ぎた養育費について、養育費を支払う本人だけでなく連帯保証人へ支払いを求められる場合があります。
通常の保証人とは異なり、連帯保証人は「まず本人へ請求してほしい」「先に本人の財産から回収してほしい」という理由だけで請求を拒むことはできません。ただし、支払期日前の将来分や、保証契約に含まれていない金額まで請求できるわけではありません。
連帯保証人へ請求するときは、未払いとなった月、金額、支払期限、振込先を文章で伝えます。支払いがない場合に強制執行へ進めるかは、手元の書面に執行力があるか、対象となる財産を特定できるかによって変わります。
公正証書は、保証契約の成立と強制執行を分けて考えます
保証契約そのものは、必要な内容を記載した書面または電磁的記録で結ぶことができます。公正証書でなければ保証契約が成立しないわけではありません。
一方、連帯保証人が保証債務を負うことと、支払いがないときに強制執行へ服することを公正証書で適切に定めておくと、連帯保証人に対する別の請求訴訟を経ずに強制執行を申し立てられる場合があります。
公正証書へ保証人の名前を書くだけでは足りません。保証人本人の保証意思、保証する範囲、強制執行認諾の内容を公証役場へ事前に相談し、必要な本人確認や手続きを行います。
公正証書があっても、自動的に入金されるわけではありません。強制執行には、執行文付き公正証書正本や送達証明書などを準備し、給与や預貯金等の対象を特定して裁判所へ申し立てます。
極度額が必要かは、保証する債務の定め方で変わります
個人が保証人になる契約のすべてに、極度額が必要となるわけではありません。
ただし、将来にわたり継続して発生する養育費を一定の範囲で保証する契約が「個人根保証」に当たる場合は、保証人が負う上限である極度額を定めなければ契約が効力を生じません。極度額の定めも、金額が分かる形で書面または電磁的記録に残す必要があります。
養育費の保証契約が個人根保証に当たるか、どこまでを極度額へ含めるかは、月額・期間・保証対象の定め方によって変わります。契約書や公正証書を作る前に、具体的な内容を個別に確認することが重要です。
連帯保証人がいても、回収できるとは限りません
連帯保証人をつける主な利点は請求先が増えることですが、支払いを保証する制度ではありません。
- 保証人の支払能力 — 保証人に収入や財産がなければ、請求できても回収が難しい場合があります
- 保証契約の範囲 — 書面に含まれない期間・増額分・特別費用まで当然に請求できるわけではありません
- 強制執行の準備 — 執行力のある書面があっても、申立てや財産の特定が必要です
保証人をお願いするときは、現在の支払能力だけでなく、保証期間が長くなることや、その間に生活状況が変わる可能性も含めて話し合います。
連帯保証人をお願いできない場合にも備える方法があります
連帯保証人になる方が見つからない、候補者が同意しない場合に、親族へ無理に保証を求めることはできません。
養育費を支払う本人との取り決めを強制執行認諾文言付き公正証書にする方法や、利用条件を満たす場合に民間の養育費保証サービスを検討する方法があります。自治体によっては、公正証書等の作成費用や保証料の一部を補助していることもあります。
連帯保証人をつけるかどうかを決める前に、保証人本人が内容を理解しているか、保証する金額と期間が明確か、公正証書にする場合は保証人への執行内容まで整っているかを確認しましょう。契約の定め方に迷う場合は、作成前に弁護士や公証役場へ相談する方法があります。