こども家庭庁が2022年12月に公表した「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」では、母子世帯のうち、養育費を現在も受けている割合は28.1%でした。
100%から28.1%を引いた71.9%が、タイトルの「約7割」に当たります。
ただし、71.9%は、取り決めた養育費が支払われていない世帯だけを数えた未払い率ではありません。まず、この数字が表す範囲を正しく見ておきましょう。
「約7割」は母子世帯で現在受けていない71.9%を指します
調査の基準日は2021年11月1日です。母子世帯の養育費受給状況は、次のように集計されています。
母子世帯の養育費受給状況- 現在も受けている 28.1%
- 現在受けていない 71.9%
令和3年度 全国ひとり親世帯等調査。2021年11月1日時点。
71.9%は、現在受けている28.1%以外の回答を合計した割合です。内訳まで見ると、「過去に受けたことがある」「受けたことがない」「不詳」に分かれます。
| 母子世帯の回答 |
割合 |
| 現在も受けている |
28.1% |
| 過去に受けたことがある |
14.4% |
| 受けたことがない |
56.9% |
| 不詳 |
0.6% |
14.4%と56.9%と0.6%を足すと、71.9%になります。
71.9%をそのまま「未払い率」と呼べない理由
調査の受給状況は、「現在も受けている」「過去に受けたことがある」「受けたことがない」という回答を集計したものです。
一方、未払い率という言葉からは、養育費の取り決めがあるのに、約束どおり支払われていない割合をイメージする方が多いでしょう。
71.9%には、養育費の取り決めをしていない世帯も含まれます。過去に受けていた14.4%についても、いつ、どのような理由で受給が終わったのかまでは、この数字だけでは分かりません。
そのため、71.9%を「取り決めどおり支払われていない人の割合」と読むことはできません。
養育費を取り決めている母子世帯は46.7%です
同じ調査では、養育費の取り決めをしている母子世帯は46.7%、取り決めをしていない母子世帯は50.6%、不詳は2.7%でした。
| 母子世帯の回答 |
割合 |
| 取り決めをしている |
46.7% |
| 取り決めをしていない |
50.6% |
| 不詳 |
2.7% |
取り決め率46.7%と現在受給率28.1%は、別々の設問から集計された数字です。46.7%から28.1%を引いても、取り決めがある人の未払い率にはなりません。
取り決めの有無と受給状況を個人ごとに組み合わせた数字ではないため、取り決め済みの人のうち現在受けている割合は、この2つの数字だけでは分かりません。
公的統計から分かるのは全体の傾向です
この調査からは、母子世帯で現在も養育費を受けている割合が28.1%にとどまることや、取り決めをしている割合が46.7%であることが分かります。
一方で、受け取れていない理由、未払いが何か月続いているか、請求できる金額、利用できる手続は、世帯ごとに異なります。
| 統計から分かること |
統計だけでは分からないこと |
| 調査対象全体の受給状況 |
ご自身の未払い額 |
| 取り決めをしている世帯の割合 |
相手が支払わない理由 |
| 調査時点の全体的な傾向 |
ご自身が利用できる請求方法 |
ご自身の未払いは書面と入金履歴から確かめます
現在、養育費が振り込まれていない場合は、全国の割合ではなく、ご自身の取り決めと入金状況を見ます。
養育費について書かれた書面、未払いの対象月と金額、通帳・取引履歴、相手との連絡記録をそろえると、次に催促するのか、法的手続を検討するのかを整理しやすくなります。
母子世帯で養育費を現在受けていない割合は71.9%です。ただし、71.9%は公式の未払い率ではなく、現在受けていない回答を合計した割合です。公的統計の数字と、ご自身の未払い状況は分けて考えることが大切です。