子どもの大学進学が決まると、毎月の養育費だけでなく、入学金や授業料を相手にも負担してもらえるのかが気になると思います。
**大学へ進学したからといって、入学金や授業料を当然に半分ずつ負担するわけではありません。**一方で、離婚時の取り決めに大学費用の記載がないからといって、話し合うことを諦める必要もありません。
まずは現在の取り決めを確認し、進学先と実際に必要な費用を相手へ伝えてください。合意できない場合は、養育費の増額調停や審判で変更を求める方法があります。
最初に養育費の支払期間と大学費用の取り決めを確認します
公正証書、調停調書、離婚協議書などがある場合は、次の2点を分けて確認してください。
- 毎月の養育費をいつまで支払うか
- 入学金・授業料などの大学費用を誰がどのように負担するか
「大学卒業まで養育費を支払う」と書かれていても、入学金や授業料の負担まで決まっているとは限りません。反対に、養育費の終期が20歳まででも、大学費用は別途協議すると定めている場合があります。
書面がない場合や、大学進学について何も決めていない場合は、現在の月額を続ける期間と、入学金・授業料等の負担を改めて話し合います。
18歳になっただけで養育費が自動的に終わるわけではありません
成年年齢は18歳ですが、それだけで養育費の支払いが当然に終わるわけではありません。子どもが大学へ進学し、まだ経済的に自立していない場合は、大学卒業まで養育費を支払うこともあります。
ただし、すでに「20歳まで」「高校卒業まで」などと終期を決めている場合、その内容が自動的に大学卒業まで延びるわけではありません。まず相手へ延長を求め、合意できないときは調停や審判で変更を求めます。
毎月の養育費と大学の入学金・授業料は分けて話し合います
大学進学後も毎月の養育費が続く場合、その月額は食費、住居費、日用品など日々の生活を支えるためのお金です。入学金や授業料はまとまった支出になるため、毎月の養育費に含めるのか、別に負担するのかを明確にしてください。
| 費用 |
確認すること |
話し合う内容 |
| 毎月の養育費 |
現在の月額と支払終期 |
大学在学中も同じ月額を続けるか |
| 入学金・授業料 |
大学の案内や納付書に記載された金額 |
誰が、いくら、いつまでに支払うか |
| 教材費・通学費 |
必要な教材や通学方法 |
毎月額に含めるか、別に負担するか |
| 一人暮らしの費用 |
自宅外通学が必要な理由と見込額 |
家賃や生活費をどの範囲で分担するか |
同じ費用を毎月の養育費と重ねて求めないよう、何を追加で話し合っているのかを分けて伝えることが大切です。
大学費用の負担は一律に半分とは決まりません
大学費用をどのように分けるかは、父母の収入比だけで機械的に決まるものではありません。現在の取り決め、離婚時に大学進学を予想していたか、子どもの希望と進学先、父母の収入や生活状況、奨学金や授業料減免を利用した後の不足額などを確認します。
特に私立大学、医歯薬系、遠方での一人暮らしなど費用が大きくなる進路は、相手が事前に了承していたかが争いになることがあります。進学が決まってから総額だけを伝えるのではなく、志望校を検討している段階から費用と納付時期を共有してください。
まず相手へ進学先と必要な金額を伝えて話し合います
最初に、大学名だけでなく、入学金、前期・後期の授業料、教材費、通学費など、分かっている費用を整理します。奨学金、授業料減免、子どものアルバイト収入を見込む場合は、その内容も含めてください。
そのうえで、次の内容を相手へ文章で伝えます。
- 進学予定の大学と学部
- 入学金・授業料の金額と納付期限
- 奨学金や減免後に不足する金額
- 相手に負担を求める金額と支払期限
- 毎月の養育費をいつまで続けたいか
「学費の半分を払ってください」だけでは、何の費用をいつ支払うのかが伝わりません。金額と期限を示し、相手の意見も確認してください。
合意できたら支払期間と大学費用を具体的に残します
話し合いがまとまったら、毎月の養育費と大学費用を分けて書面に残します。
- 毎月の養育費を支払う終期
- 入学金・授業料など対象となる費用
- 父母それぞれが負担する金額または割合
- 支払期限と振込先
- 留年、休学、退学、進路変更があった場合の扱い
「大学卒業まで」だけでは、浪人や留年があった場合に終期が分かりにくくなります。「22歳に達した後の最初の3月まで」など、年月で区切る方法も検討してください。
話し合えない場合は養育費の増額調停や審判を検討します
相手が話し合いに応じない、大学費用の負担や支払期間について合意できない場合は、家庭裁判所へ養育費の増額調停を申し立てる方法があります。
一度決めた養育費でも、子どもの進学など事情が変わった場合は、額や支払期間の変更を求めることができます。調停では、実際に必要な教育費、父母双方の収入、現在の取り決め、進学が予想できたかなどの事情を確認しながら話し合います。
調停で合意できない場合は審判へ移り、裁判官が事情を踏まえて判断します。大学進学や費用の発生だけで、希望した金額がそのまま認められるわけではありません。
先に支払った入学金や授業料を後から求める場合は注意が必要です
納付期限が迫り、相手と合意する前に入学金や授業料を支払うこともあります。しかし、先に支払った費用の一部を後から求めれば、当然に受け取れるわけではありません。
進学予定と費用をいつ相手へ伝えたか、相手が進学や費用負担を了承していたか、支払った金額と使途を確認します。事前に連絡できなかった事情がある場合は、その理由も整理してください。
すでに支払った後でも、大学の案内、納付書、領収書、相手とのやり取りを示して話し合うことはできます。話し合いがまとまらない場合は、今後分の養育費や大学費用と合わせて弁護士へ相談してください。
奨学金や授業料減免がある場合は不足額を確認します
奨学金には返済が必要なものと、返済不要のものがあります。授業料減免や給付型奨学金を利用できる場合もあるため、制度を利用した後にいくら不足するのかを確認します。
奨学金を利用することだけを理由に、相手の負担が一律に0円になるわけではありません。一方で、必要な費用を確認せず、大学費用の全額を相手へ求められるわけでもありません。誰が返済するのか、卒業後に子どもへどの程度の負担が残るのかも含めて話し合ってください。
大学進学が決まったら納付前に話し合うことが大切です
大学進学時の養育費と学費は、既存の取り決め、支払期間、実際に必要な費用、父母の負担可能性によって結論が変わります。
まずは志望校と費用が分かった段階で相手へ伝え、毎月の養育費をいつまで続けるのか、入学金や授業料をどう分けるのかを話し合ってください。相手と直接話し合うことが難しい場合や、納付期限が迫っている場合は、早めに弁護士へ相談することもできます。